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五度目のドイツ出張 Mercedes Museum その1 [ドイツ出張]

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自動車の街シュトゥットガルトを代表する自動車メーカといえば、ポルシェとダイムラー。

今回は、ダイムラーを代表するブランド、メルセデス・ベンツ博物館へ。





 

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実はここもポルシェ博物館同様に、以前の出張で訪れている。
それでもまたやって来たのは、あまりの長さの滞在期間で休日にすることが思いつかなかったりしたことと、この博物館は歴史的に見ても所蔵品に非常に価値があるので何度見てもいいだろうと思って。

ただ、以前の記事を書いた頃と読者の方が大きく変わっているとはいえ、同じような紹介をしてもおもしろくないと思って、今回は少し趣向を変えた紹介の仕方を。





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Daimler Motorkutsche
メルセデス・ベンツの歴史は、世界の自動車の歴史そのものといっても過言ではない。
クルマの歴史は、まさにここから始まった。





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1893 Benz Victoria
初期の自動車は、馬車からの発展型。
馬車の馬をどけて、自力で走る、そんなイメージ。





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時代は、旅行が大衆化し始めた頃。
自動車はまだまだ一部の人の高価な乗り物だっただろうが、鉄道とかでの大量輸送が普及してきた頃。

こんな風に、博物館のフロアを下りていくスロープの壁に時代背景を説明したパネルが多数あり、これが非常に印象的だったので、歴史を変えてきた自動車とそのときの時代背景を組み合わせて紹介していく。





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1902 Mercedes-Simplex 40PS
馬車の延長に過ぎなかった自動車のスタイルに一石を投じ、新しい形を作り始めたのがこのモデル。





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この10数年後に、第一次世界大戦という悲劇が始まる。





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世界で戦争が始まると、ダイムラーの主力工業製品は、一部航空機エンジンへとシフトしていく。





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そして、ナチスの誕生による恐怖政治の始まり。





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戦争の終結とともに、国連が発足。
世界がひとつになろうと動き始めたところだったのだが...





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1955 Mercedes-Benz 2.5l-Stromlinienrennwagen

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この頃、メルセデスは F1 グランプリで大活躍。
ドイツの国の色をまとった銀色のマシンは、"シルバーアロー” と呼ばれた。
ところが、'55年のル・マン24時間レースでマシンがクラッシュした際、マシンの一部が観客席に飛び込み200名以上の観客が死傷する大惨事となり、しばらくメルセデス・ベンツの名前はモータースポーツシーンから姿を消す。





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1962 Mercedes-Benz 300SL
ガルウイングタイプのドアが特徴的なこのモデルは、今も語り継がれるほどの名車としての地位を築いた。





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1964 Mercedes-Benz 220S
なんて特徴もないこのクルマだが、エンジニア目線で見ると非常におもしろい展示。
その秘密は、後に連なったクルマに。





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こんな風に、なにやら後のクルマとつながっている。





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1960 Mercedes-Benz 300 Messwagen
このクルマが、それまでの自動車開発を大きく変えたといっても過言ではないだろうと思う。





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後部に搭載された数々の計測器。
前を走る開発中の試作車から各種センサの信号を拾って、それを解析する。
恐らく、これ以前は、自動車開発というのはエンジニアの感覚に頼った開発をしていて、それはきっと担当するエンジニアのセンスの差によって、出来上がるモデルの品質にも大きな差が出たであろうと想像する。
それが、データを測定してそれを定量的に解析して判断することで、開発の質が飛躍的に向上したことだろう。
もちろん、現代でもエンジニアの技術レベルや度量によって大きな差はあるのだが、いろいろな指標を数値で見ることができるようになったということは大きな進歩。





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その頃、時代は東西冷戦へ。





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各国の技術開発競争はより高いレベルのものになり、その結果、人類は月に立つほどになる。





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その技術開発の中では、取り返しのつかない大きなしっぺ返しを食らうことも。





このメルセデス博物館は、その充実度から、どうしても一つの記事に収めることができなかった。
というわけで、次回へ続きます。


タグ:ドイツ
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コメント 13

ナツパパ

トヨタだって日産だって、歴史はあるメーカーなのに、
こうやってメルセデスの博物館を見ると、ずいぶん違うのですね。
王道の真ん中を歩いてきたメーカー、という感じがします。
by ナツパパ (2015-03-15 18:06) 

ふにゃいの

普段は単純にカッコイイ~と思ってみてしまうベンツですが、
それだけ歴史があるということは
色々な時代の流れの中にあるメーカーなんだなと思いました。
by ふにゃいの (2015-03-15 18:22) 

kuwachan

車の歴史を知りたいのなら、ベンツの博物館へGo!ってことですね^ ^
自動車の歴史だけでなく世の中の流れもわかりますね。
by kuwachan (2015-03-15 20:10) 

hideyuki2007y

ベンツも航空機エンジンを手がけていたのですね。とっても見応えのあるところとお見受けしました。そして、奇抜な外観にも惹かれます。いつか訪ねてみたいです。
by hideyuki2007y (2015-03-15 22:34) 

YAP

ナツパパさん、ふにゃいのさん、kuwachanさん、hideyuki2007yさん、コメント & nice! ありがとうございます。

ナツパパさん、
日本の企業って、ここまで立派な企業博物館って見かけない気がします。
ここはじっくり見たら半日くらいでは足りないほど見応えがあります。

ふにゃいのさん、
この歴史は、そのまま自動車の歴史といっても過言ではないくらいですから。
常に時代をリードしてきたともいえます。

kuwachanさん、
最初に最上階へエレベータで昇って、1階ずつ下りながら見ていく順路になっています。
階を移動するスロープの壁に、それぞれの年代のパネルがあるのですが、これがまた見応えあります。

hideyuki2007yさん、
戦時中は、けっこう多くのメーカが航空機エンジンを手がけていたのではないでしょうか。
気圧の低い高度の高いところを飛ぶわけなので、それもまた技術向上のきっかけになったことだろうと思います。

tochiさん、one_and_onlyさん、黄金旅程さん、ネオ・アッキーさん、nonaさん、trending-nowさん、nice! ありがとうございます。
by YAP (2015-03-16 07:07) 

リュカ

車からも時代の流れがわかって面白いですね。
そして展示も見やすそうです。
by リュカ (2015-03-16 10:03) 

めぎ

ドイツに住んでもう10年以上なのに、未だ行ったことのない車のミュージアム。
以前の記事を拝見したときに、いつか行ってみたいなあって思って、その後また数年経ったと言うことですね。
by めぎ (2015-03-16 22:19) 

YAP

リュカさん、めぎさん、コメント & nice! ありがとうございます。

リュカさん、
時代とともに、その頃の流行のスタイルというのを比べるとおもしろいです。
それぞれの瞬間に最先端というのがあって、それが数年経つと陳腐化して。
不思議なものです。

めぎさん、
ドイツの自動車会社のミュージアムはどこも充実していて、お金を払って見る価値は十分にあると思います。
デュッセルドルフからだと、シュトゥットガルトはちょっと遠いですね。
フォルクスワーゲンミュージアム(Wolfsburg)も同じくらいの距離ではないでしょうか。

nmzkさん、Lionbassさん、knackeさん、tweet_2さん、nice! ありがとうございます。
by YAP (2015-03-17 07:11) 

nona

YAPさんの分かりやすい説明と共に
色々な形の車が見られて、
博物館に行ったような気分になりました (*‘∀‘*)
車の歴史がこんなに面白かったなんて!!
とても勉強になりました m(_ _)m
by nona (2015-03-17 08:37) 

フェイリン

日本の博物館は単純にその物の解説だけをしているのが多いですが、
時代背景も一緒に学べると興味の沸き方も違いますし、良いですよね。
by フェイリン (2015-03-17 11:32) 

YAP

nonaさん、フェイリンさん、コメント & nice! ありがとうございます。

nonaさん、
自動車の始まりはここからでしたが、それを量産化したのはアメリカ(フォード)ですね。
それぞれの国で独自の進化をしてきているというのもおもしろい歴史です。

フェイリンさん、
この博物館の見所はクルマだけではなく、各階を結ぶスロープの壁に埋め込まれた時代背景を説明したパネルもすばらしいです。
思わずそっちの方に見入ってしまいました。

シルフさん、nice! ありがとうございます。
by YAP (2015-03-18 07:16) 

One-for-you

ダイムラー…
1960以降は、身近に感じます^_^
by One-for-you (2015-03-19 00:33) 

YAP

One-for-youさん、コメント & nice! ありがとうございます。
そのコメントの深いところは...お察しします。

neo-kaminewsさん、めろんぱんさん、nice! ありがとうございます。
by YAP (2015-03-19 08:04) 

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