ジャパンモビリティショー2023 その3 サプライヤ編 [クルマ]
2023年10月25日~11月5日に東京ビッグサイトで開催されている、というか今日が最終日で間もなく終了するジャパンモビリティショーの続き。
所謂コンパニオンの女性は顔を見せることがお仕事でもあるので、写真に写っていてもあえてモザイクをかけず。
ひとつの記事の写真が多いが、いちおう体系的にカテゴリ分けをしたらそこそこの数になったので、ちょっと更新頻度を上げる。
今回は部品サプライヤ編。
私のような自動車業界の人間は、半分張りぼてで現実感のないコンセプトカーよりも、近い将来を見据えた展示が多いサプライヤの展示の方がおもしろかったりして、そっちを見るほうが自動車メーカを見るよりもはるかに時間を費やされる。
今回もそうだろうと思い、そういう時間配分をしていたのだが...
まずは日本の雄、デンソー。
所謂コンパニオンの女性は顔を見せることがお仕事でもあるので、写真に写っていてもあえてモザイクをかけず。
ひとつの記事の写真が多いが、いちおう体系的にカテゴリ分けをしたらそこそこの数になったので、ちょっと更新頻度を上げる。
今回は部品サプライヤ編。
私のような自動車業界の人間は、半分張りぼてで現実感のないコンセプトカーよりも、近い将来を見据えた展示が多いサプライヤの展示の方がおもしろかったりして、そっちを見るほうが自動車メーカを見るよりもはるかに時間を費やされる。
今回もそうだろうと思い、そういう時間配分をしていたのだが...
まずは日本の雄、デンソー。
トヨタ系部品サプライヤの展示は、総じてがっかり。
実物の展示は少なく、電動系のコンポーネントがちょっとだけ。
それもこの写真一番右のモータージェネレーターに見られるように、まあまあ重量があるブツがこういう展示をされているということは、張りぼてに間違いない。
まあ、中が見えなければホンモノだろうとモックアップだろうと外観しか見えないので、それをどうこうはないが。
なんというか、コンセプト展示みたいなアニメーションを使ったイメージで訴えかけているが、う~ん、よくわかんないな。
デンソーと並ぶトヨタ系大型サプライヤのアイシンも、実物展示は少なく、映像での製品紹介が中心。
こういうのであれば、別に会場に行かなくてもオンライン配信でいいよねと思ってしまう。
そういう愚痴ばかりでなく、映像であれ何であれ紹介されているブツに触れときますか。
例えばこの写真の eAxle という製品。
"eAxle" と呼ぶ括りはわりと曖昧で、電動系のコンポーネントをいくつか集めて一体化したものを一般的にそう呼び、モータ、インバータ、ギアボックスの 3点を一体化した頃から使われている言葉だと思う。
アイシンはそれに DC/DC コンバータと熱マネジメントシステムを一体化したものを紹介。
こちらはドイツの雄、ボッシュの展示。
電動系コンポーネントもだが、運転支援系のコンポーネントの方が存在感があった。
そういえば、今回の展示は運転支援とか自動運転とか、そっち系の展示の影が薄い気がした。
たぶん技術的にはそれなりにいいレベルまで行けてるのではないかと推測するが、実際の市場投入にいろいろ障害というか、法的な部分とか責任の所在とか、察知しきれない周囲のクルマや人への対応とか、とにかく何もかも完璧にしなければ大問題になりかねないということで、最後の一歩が踏み出せないのかな?
この辺から、肩身の狭くなった感のある内燃機関系の展示の紹介を。
こちらはミネベアミツミのターボチャージャーとカートリッジタイプのボールベアリング。
従来の滑り軸受に比べてフリクションが小さく、ターボの効率も上がるようだ。
もうひとつ、電動ウォーターポンプと水路を切り替えるコントロールバルブ。
パワトレインの電動化が進んでも熱マネジメントは必要なので、こういう製品はこの先どう転んだとしても必要。
リケンと日本ピストンリングが経営統合し、リケンNPR という名前に。
こちらは水素エンジン向けのピストンリング。
水素は燃料電池の向けの燃料としてだけでなく、従来の内燃機関の燃料としても注目されている。
水素が燃焼すると水(水蒸気)になるので燃焼室の潤滑をいかに保つか、その辺りがポイントみたい。
こちらは樹脂ギヤ。
潤滑を必要としないので、そのメリットを活かしつつ、どれだけ大きなトルクに耐えられるか。
日本特殊陶業は、英名商号を "Niterra" に変更。
ただ、NGK と NTK の両ブランド名もブースに掲げてあったので、これらもそのまま使うのかな?
こちらのスパークプラグにも、従来と同じ NGK のロゴは入っている。
こちらはとても気になるプレチャンバープラグ。
F1 とかでは既に当然のように使われているが、先端の電極部がこのように覆われていて、その中の空間が副燃焼室のようになり、その内部で燃焼した火炎が先端の穴から噴き出し、通常の燃焼室のガスに着火する。
燃焼のメカニズムとしては、私のようなおっさん世代だとホンダの CVCC みたいと言えばイメージがつくかもしれない。
NTK ブランドでは、各種の排気センサ類。
もうちょい技術的な説明がほしかった。
以前はかなり積極的にエンジン系の部品を展示していたドイツのマーレは、規模が少なくなったがそれでも他よりは気になる展示が多かった。
こちらは水素エンジン用のピストン。
水素は火がつきやすいので、いかに異常燃焼のリスクを減らすか、そういう難しさもあるらしい。
これは熱マネジメントモジュール。
ポンプやアクチュエータを一体化。
タイヤメーカの展示もけっこうおもしろかった。
ブリヂストンの月面探査車用タイヤ。
金属(アルミ?)を繊維状に編んでいる。
月面上は昼夜の温度差が激しく、ゴム製のタイヤではとても対応できない。
もう一つ興味深かったのは、給電タイヤ。
走行中のワイヤレス給電を見据えたもので、インホイールモータへの給電実現化を目指している。
ダンロップは、こんなトレッドのタイヤを展示。
これはアクティブトレッドといって、ドライ路面や雨でぬれた路面はもちろん、冬の凍結路も路面をしっかりつかむとのこと。
オールシーズンタイヤというのは以前から存在するが、さらに性能を伸ばして、より様々な環境条件に対して安全にグリップする。
ヨコハマは硬度可変スタビライザー搭載のスポーツタイヤを展示。
制御情報をスタビライザーに送るセンサを搭載していて、サイドウォール面の剛性を制御。
それにより、アクティブに走りたいときはサイドウォールの剛性を上げ、乗り心地を重視する場面では剛性を下げてしなやかな乗り心地に。
こちらは曙ブレーキ。
ずっと議論中でいつ適用されるかが延び延びになっている欧州の排ガス規制、ユーロ7は、エンジンからの排ガスだけでなく、タイヤやブレーキからの粉塵も規制対象になる。
エンジンばかりが悪者であるかのように思われがちだが、実はタイヤやブレーキからの PM (パティキュレート・マター) の量はエンジンの排ガス以上であり、それは EV になっても同じ。
むしろ、重量の増える EV ではより多くなるのは間違いない。
EV 化の動きって、どこで CO2 を出すか(エンジンからか発電所からか)というだけでなく、いろいろなところで多くの矛盾をはらんでいる。
ダンパーやシート部品のサプライヤである THK は、自社開発 EV のプロトタイプを展示。
これがほんとにどこまで自前かというのはあるだろうが、EV が主流になると参入障壁が下がるのは間違いない。
最後に、部品サプライヤでも中国メーカが目立っていた。
主な展示は当然のように電動系部品。
こんな感じで、どこもかしこも電動系がほとんど。
いつも見るのに時間がかかるエリアなのだが、想像以上に早く見終わってしまった。
これが10年後にどんな世界になっているのかな...?
タグ:ジャパンモビリティショー
お写真を見ていて、ドラマ「下町ロケット」を思い出しました。
部品ひとつひとつに技術者の努力が込められているんでしょうね。
by sheri (2023-11-05 19:33)
自動運転はもうほぼできるんでしょうけど、法的に全く何も整ってませんものね。
うちのドイツ人は、ぜひそれを実現してもらって、ずっと車に乗り続けられたらと願っているのですけど、私たちが生きているうちに実現するかしら。
by めぎ (2023-11-06 06:46)
sheriさん、テリーさん、めぎさん、コメント & nice! ありがとうございます。
sheriさん、
今回紹介している企業は「下町ロケット」というには大きすぎるところばかりですが、次かその次の記事でそういう小さくても元気な企業を紹介しようと思ってます。
テリーさん、
おそらくご自身の記事に書こうとしていたコメントを間違えてこちらに貼りつけたものと思われますが、どういたしましょうか?
こちらで消しておいてもいいですが。
めぎさん、
自動運転は、意外とここからが長いような気がします。
私たちが生きている間には...たぶん、高速道路限定くらいであれば実現するのではないかと思うのですが。
xml_xslさん、ずん♪さん、tochiさん、@ミックさん、鉄腕原子さん、nmzkさん、nice! ありがとうございます。
by YAP (2023-11-06 07:03)
ニッサンのCMを見ると、EVと自動運転がメインです、でした、かな。
最近、自動運転のCMを見ないのは、やはりこれ以上は進の難しいからでしょうか。
CMですと、もうすぐに実用、という感じでしたがねえ。
by ナツパパ (2023-11-06 09:31)
YAP さん、間違えて、コメントを貼り付けてしまいました。
消します。
先日、アイシンが、自動車のテストコースを持っていて、そこで、eAxle の試験をして、改善を図っているのが、紹介されていました。
EV は、複雑なエンジンが不要となるということで、参入しやすかったのが、eAxle のように、沢山のコンポーネントを一体化して製造して、重量減をしてゆく、今までとは、全く違う競争になりますね。
by テリー (2023-11-06 09:55)
タイヤの展示面白いですね。
タイヤにも給電って、今まで考えてもみなかったです。
by リュカ (2023-11-06 14:49)
ナツパパさん、テリーさん、リュカさん、コメント & nice! ありがとうございます。
ナツパパさん、
自動運転というか、運転支援に関する技術は、各社完成度は様々で差異があることと思いますが、限定された条件下でレベル3 までしか出せない現状(いろいろ法的に整えられてきているとはいえ現実的にという意味で)の中では、アドバンテージを出すのが難しいんでしょうね。
ただ、日産の CM は誇大広告で消費者に誤解を招くものではないかと思います。
テリーさん、
あまり知られてはないと思いますが、そこそこの規模のサプライヤであれば、自社テストコースを持っていることは普通です。
eAxle は関連コンポーネントを一体化してコンパクトにするという目的はありますが、異なる機能を持つ複数のコンポーネントをまとめて採用してもらうという戦略的な意味も大きいと思います。
いずれにしても、開発競争の視点は従来とは変わってくると思います。
リュカさん、
EV のモータは、インホイールモータといって、それぞれの車輪に直付けするタイプもありますので、それとの組み合わせを意識しているようでした。
タイヤの進化って一見地味ですが、それだけに奥が深いんだと思います。
kiyoさん、ふるたによしひささん、nice! ありがとうございます。
by YAP (2023-11-06 16:38)
アクティブトレッド、いいですね~。
どんな天気でも場所でも、安全にグリップしてくれるって、嬉しいし安心感があります。スポーツタイヤも面白いですね。
by おと (2023-11-06 22:06)
ミネベアミツミってこんなものを作っているんですね。
仕事で関係があったのですが、どんなものを作っているのか
実際に見たことがなかったのです(^^ゞ
by kuwachan (2023-11-06 23:09)
おとさん、kuwachanさん、コメント & nice! ありがとうございます。
おとさん、
タイヤも技術が進歩してきているようでした。
以前はチューブを必要としないパンクしないタイヤを各社展示してましたが、今回は一つもなかったです。
kuwachanさん、
そうでしたか。
数あるサプライヤから紹介できてよかったです。
なかなか普通の人は目にしない会社って多いです。
by YAP (2023-11-07 06:41)