東京モーターショー 2017 海外メーカ編

今年の東京モーターショー。
今回は海外メーカからの注目の展示を紹介。

10年近く前のリーマンショック以降、東京モーターショーに出展する海外メーカの数が激減。
アメリカの旧ビッグ３は日本でも元々そこまで売れていなかったために当然のように出なくなったし、今回はフィアット系やランボルギーニとかのイタリアメーカも姿を見せず。

そんな中、唯一存在感を見せていた国はドイツ勢。

まずはメルセデスベンツから。

２年前の VW ディーゼルゲート事件以来、欧州の潮目はディーゼルから EV へ一気に変わった。
あまりニュースにはなっていないが、メルセデスベンツもディーゼルエンジンでフォルクスワーゲンと同様に、型式認証時の試験時のみ作動して排ガスを下げる電子制御を組み込んでいたということで、捜査を受けている。
排ガス規制は、各地域で定められている法規なので、これを満足できないと販売すら許されない。
その罪は重い。
メルセデスベンツは EQ という EV 向けのブランドを作り展開していく。
これがその最初のモデルとなるであろう、コンセプト EQA。
EQ シリーズの A クラスという意味だろう。

前回の記事で書いたように、EV への流れは環境というよりは政策によって誘導されて作られたものという風に感じている。
自動車メーカもそれをわかっているはずだが、けっきょくは企業利益のためにそれに沿ったクルマを造るということ。

 

メルセデスベンツでもう１台注目したのは、Project ONE。

横に並べて展示されているのは、今年も F1 でダブルタイトルを獲得した W08 EQ Power+。

この展示から想像されるように、Project ONE は、F1 を戦うパワートレインをほとんどそのまま移植したスーパースポーツ。
1.6L V6 ターボ にブレーキと熱エネルギの回生による発電システムを組み込んだハイブリッドで、システム出力は 1000PS にもなる。
これを '19年に市販しようというのだから、すごい話だ。

メルセデスはエンジンも１台展示。
M278は、4L V8 ツインターボで、V バンク間にエキマニが配置されている、なかなか独特なデザイン。

BMW も、市販モデルでは PHEV を中心に電動化へのシフトを加速させているが、コンセプトカーではそうでもなかった。
こちらは、次期 Z4 へとつながる Concept Z4。
トヨタとの共同開発が噂されていて、これをベースにスープラが復活すると言われている。

もうひとつは、Concept 8 Sereis。
高性能ラグジュアリクーペである 8 シリーズが間もなく復活する。

続いては、フォルクスワーゲン。
2年前のディーゼルゲート事件後、ヨーロッパの風向きは一気に変わり、すべてのメーカがEVにむかうようになった。
VW の展示も、メインは EV や PHEV モデル。

一方で、日本はさほど影響がないとみてか、この先日本向けにディーゼルのラインナップを強化するらしい。
ムムム．．．

フォルクスワーゲンも市販車は EV や PHEV に力を入れてきたが、日本未導入の up! GTI が目についた。
ゴルフは大きくなりすぎたし、ポロはかなり高くなってしまったので、up! に GTI が設定されたのはうれしいこと。

新たなフラッグシップモデルとしてジュネーブショーで発表されたアルテオン。
クーペスタイルの大きな傾斜のリアウインドを持ち、とてもスタイリッシュ。

フォルクスワーゲングループということで、次はアウディ。

アウディは、VW グループの中でも、かなり先進的な技術の先行投入的ブランドとして存在感を見せている。
Q7 e-tron quattro のパワートレイン展示。
特にバッテリとモータ部を前面に出して見せている。

このブースの目玉は、Elaine。
AI による自動運転レベル4 （すべての操作をクルマ側が担う）を実現している。
世界中のメーカが自動運転に力を入れている中、アウディはトップを争っている。

同じくフォルクスワーゲングループのポルシェ。

あのポルシェでさえ、電動化を積極的に進めている。
いや、スポーツモデルをそろえているポルシェだからこそ、低速から力強いトルクで加速する EV に力を入れているということか。

パナメーラ 4E Hybrid Sport Turismo。

こうして見ていると、欧州メーカは一気に PHEV モデルを増やして、日本が得意としてきた HEV を飛び越えてしまった感がある。

そのポルシェのブースでは、懐かしい 356 Speedstar も同時に展示。
ポルシェの過去と未来を輝かしく見せていた。

フランス勢はコンセプトモデルの展示はなく、現実的な正規モデルの展示のみ。

我らが DS は、初の DS オリジナルモデルとなる、DS 7 クロスバックを大きく展示。

私の DS 3 も、今や DS ファミリーのギラギラしたグリルに。

ルノーは、R.S. (Renault Sport) シリーズをずらりと展示。
メガーヌ R.S. は、シビック Type R に奪われたニュルブルクリンク FF 最速ラップの記録を奪い返せるか？

改めて写真を見返すと、海外勢はほとんどドイツとフランス。
（あとはスウェーデンのボルボくらいだが、展示は XC60 1車種のみ）
かつては世界五大モーターショーの一つに数えられていた東京だが、その地位はもう中国に奪われてしまったようで、非常に寂しい。

タグ：ルノー DS ポルシェ アウディ 東京モーターショー フォルクスワーゲン BMW メルセデスベンツ

コメント 9

ホントこれから車はどうなるのかな・・・
いや、これからエネルギーはどうなるのかな、という感じです。
by めぎ (2017-11-16 03:52) 

めぎさん、コメント & nice! ありがとうございます。
これからの10年は、かなり大きく変わりそうな予感です。
ドイツでも自動車産業はかなり大きなウェイトを示しているでしょうから、生活に影響してくる人も多いでしょうね。

xml_xslさん、knackeさん、鉄腕原子さん、@ミックさん、nice! ありがとうございます。
by YAP (2017-11-16 08:11) 

東京が五大モーターショーから外れてしまったのは一抹の淋しさを覚えますね。
でも、市場の大きさからすると企業が中国を魅力的だと思うのは当然ですね。
by kuwachan (2017-11-16 08:52) 

やっぱり会社だから企業利益ですよね。。。
うちのダンナが「保険会社も結局は会社だからね」と言って
保険に入らないこと、ふと思い出しちゃいました(笑)
by リュカ (2017-11-16 10:03) 

kuwachanさん、リュカさん、コメント & nice! ありがとうございます。

kuwachanさん、
リーマンショックが転換期でしたね。
あれで世界中のメーカがどのモーターショーに出展するか吟味し、日本は以前ほどの魅力的な市場ではなかったということでしょう。
たしかに、日本ほど国内メーカが強い市場は世界にないですから、輸入車メーカがあきらめるのも理解できます。

リュカさん、
お金に関する本を読むと、保険は無駄だと書いてあるものは少なくないですね。
私もそろそろ現実的なことを考えて補償内容を見直さないと。
自動車保険に関しては、万が一のリスクがあまりにも大きいので、入らないという選択はないですが。

soramoyouさん、sheriさん、nice! ありがとうございます。
by YAP (2017-11-17 07:15) 

ポルシェの、過去と未来を見せる展示は良いですね。
ポルシェが電動化というのはイメージに合いませんが、
やっぱり時代の流れなんですね。
by aloha (2017-11-17 09:08) 

alohaさん、コメント & nice! ありがとうございます。
ポルシェは、フォルクスワーゲングループの中ではかなり積極的に EV 路線を示しています。
そこにはポルシェならではの乗り味も考えながらとのことです。

あおたけさん、ぼんぼちぼちぼちさん、kiyoさん、nice! ありがとうございます。
by YAP (2017-11-18 06:39) 

海外メーカーの車はまた流線形へ戻っていってるんですね。
スポーツカーまで電動化の道を進んでいくんですか・・・
by miffy (2017-11-18 15:18) 

miffyさん、コメント & nice! ありがとうございます。
エンジン屋にとっては残念な事実なのですが、内燃機関よりも電気モータの方が回り始めから大トルクを得ることができるので、圧倒的に速いんですよ。
そういう点で、スポーツカーも電動化へ行くのだろうと思います。

ふにゃいのさん、nice! ありがとうございます。
by YAP (2017-11-18 16:26)