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東京モーターショー 2017 国内メーカ編 その2 [クルマ]

今年の東京モーターショーの紹介。
今回は、国内メーカの続編。






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まずは日産。
前回の記事でのスバルの項でも書いたが、やらかしてしまった。

昨年の三菱の不祥事後に傘下に置いたりした一連の提携話が不自然なほどのスピードで進んだことから、なんとなく嫌なイメージがついてしまったが。





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事前発表にはなかった会場でのサプライズ発表となった IMx。

今の日産を象徴する EV。
当然のようにレベル5(無人運転も可能)の自動運転技術を盛り込んでいる。

昔は、「技術の日産」と言われていたが、最近はいろいろと他社に先行されるようになってしまい、EV に活路を見出している。
その動きは、傍から見ると焦っているようにも見える。






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モデルチェンジしたばかりのリーフの NISMO仕様。

航続距離が 400km となったが、実際はエアコンやナビゲーション等の電気装備を使用したらそこまではいかないはずなので、まだまだ長距離ドライブに利用できるというレベルにはない。
バッテリー技術の進化は今も早い速度で成長しているので、5年後くらいには状況が変わっているかもしれない。

欧州が電動化に大きく舵を切った中、日産がその競争に勝てるかどうか。



今回の展示で私が最もがっかりしたのは、この日産だった。
実は、今回大きく期待していた技術があった。
それは、来年量産が予定されている可変圧縮比エンジン。
エンジン屋がこれまでずっと考え続けながら実現できなかった技術を日産が量産化するということで、「技術の日産」が戻ってきたと期待していた。
が、こんなすごい技術の展示が一切なし。

電動化一辺倒の流れに対して、内燃機関もまだまだいけるということを一般の人に示す意味でもこのモーターショーはいい機会だったというのに、今や日産社内での内燃機関の扱いはその程度なのかと、残念以外の言葉が見つからない。






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前述のように、昨年日産傘下に入った三菱。

昨年の不祥事(燃費偽装)は、もちろん簡単に許されることではないが、日産やスバルの安全検査偽装に比べればいくらかマシと言える。
なぜならば、こちらは法規違反ではないので。いや、もちろん虚偽の過大広告をしたというのはあるか。
ユーザーの心象的にはこっちの方がイメージ悪いだろうが。






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三菱も日産と同じく、電動化に活路を見出そうとしている。
唯一のコンセプトカーである e-EVOLUTION CONCEPT も、当然ながら EV。
EV + SUV という路線で生き残りをかけている。






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お次はホンダ。






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ホンダもメインの展示は EV。
このアーバン EV コンセプトは、カントリーシビックと呼ばれていた初代シビックを強く思い出させるスタイル。






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もう一つの目玉コンセプトカーは、スポーツ EV コンセプト。
事前発表ではディザースケッチだけであり会場でのサプライズモデル。

アーバン EV コンセプトとあわせて、AI を組み合わせた自動運転を盛り込んでいる。
自動運転ということを考えると、内燃機関に比べてモータが圧倒的に使いやすいので、そういう点では自然な流れでもある。
リアビューは昔の S600 や S800 とかのクーペを印象させる姿で、これも原点回帰を狙ったデザインに見える。






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自動車メーカ最後に紹介するのはマツダ。






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この日のブースで、最も混雑していた。
この人ごみの先にあるのは...






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VISION クーペ。

会場でのサプライズ発表モデルで、今の躍動的なマツダのデザインをさらに昇華させたデザインスタディ。
サイズ的には、アテンザにつながっていくか。
パワートレイン等の詳細までは発表されていない。






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もう1台、同じく事前発表のなかったコンセプトモデル、KAI (魁) CONCEPT。
こちらはパワートレインに次世代ガソリンエンジン "SKYACTIV-X" を搭載していて、次期アクセラのコンセプトモデルとも言われている。
こちらもなかなか力強さがありながら美しさも兼ね備えている。






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この辺りだけは、ちょっともっさり感があるが。






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電動化ばかりが持ち上げられている中で、マツダが放った渾身の一撃、"SKYACTIV-X" エンジン。

ガソリンエンジンの燃焼形態に予混合圧縮自着火(HCCI; Homogeneous Charge Compression Ignition)という、これまで世界中のメーカが研究開発して実現できなかった技術を、世界で初めて量産化に目処をつけたエンジン。
マツダは従来エンジン同様のスパークプラグによって困難な圧縮自着火を実現しているということで、SPCCI; SPark Controlled Conpression Ignition)と呼んでいる。
どれくらいすごい技術かというと、100年以上の内燃機関の歴史を大きく塗り替えるくらいの飛躍的進化で、過去にこういったモーターショーとかでいくつかのメーカが「コンセプト」としての展示したことはあっても実用化は無理だと言われていた技術。
圧縮比は16で設計しているということで、通常の火花点火運転をする高負荷域のノックをどう回避しているか気になるところだが、説明員の方の話だと、そこは一般的なエンジン同様のノック対策を地道に取り込んでいるとのことだった。






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ガソリンエンジン、ディーゼルエンジンに、それぞれ得意不得意な領域があり、それらのいいとこどりを狙える。


電動化まっしぐらの自動車業界であるが、その最大の理由は、環境対応ではなく、各国の法規制がそういう方向に動いているからそれに対応するため。
たしかに走行中は CO2 を排出しないのでクリーンに見える EV だが、Well to Wheel、つまり発電のためのエネルギとなる油田からクルマが走るまでを考えると、必ずしも EV がクリーンとは言い切れない。
EV の環境効果を謳う資料の大部分は、'10年頃、つまり原発がバリバリ稼働していた頃の CO2 収支で語っているものが多く、原発の稼働がほとんど止まっている今は、その優位性はその頃ほどではない。
バッテリ廃棄時のエネルギまで考えると(そういう資料は見たことないが)、もしかしたらほんとに逆転するかもしれない。
実際、マツダがこの技術で達成している CO2 排出量は、Well to Wheel で考えると、原子力や再生可能エネルギーによる発電以外で最もCO2排出量が少ない LNG(液化天然ガス)による火力発電で供給された電力で動くEV(100g/km)と同等だとのこと。
一方で、欧州を中心に都市部の大気汚染が問題になっているのも事実で、パリやロンドンは'40年に内燃機関のクルマを販売することを禁止する法案を可決した。
そういうことを声高に言っている人は、目の前で走っているクルマのテールパイプしか見ておらず、トータルのエネルギ収支でものを言っていないし、実際のところ自動車業界の人はそれに気づいている。
まあ、不都合な真実、ってやつですね。
今のところ、マツダだけがそれを言っていて、内燃機関のさらなる進化に取り組んでいる。






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おまけとして、ヤマハ発動機を。






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ここ最近、ヤマハ四輪のコンセプトモデルを出展することが多いが、今回もこのクロスハブコンセプトを持ち込んでいた。
パワートレイン等の技術詳細の発表はないが、リア部がピックアップのような荷台になっていて、バイクを積んで遊びに行くような、ヤマハらしいモデル。




次回は、輸入車を紹介。

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めぎ

日本の自動車業界は今後どうなっていくのでしょうかねぇ。
こちらでは韓国の車が随分多くなり、日本車も依然として目につくものの、シェアは今後どんどん変わっていくような気がします。
電気化を声高に叫ぶ政治家に関しては、そう言っておけば選挙に勝てるから叫ぶわけで、本当に将来のことを考えているかどうかはなんとも・・・
by めぎ (2017-11-12 22:32) 

YAP

めぎさん、コメント & nice! ありがとうございます。
日本に限らず、自動車業界全体が先行き不透明です。
電動化や自動化で新しいプレイヤが参入してきていますし、社会全体の変化とともに、構造も変化していきそうです。

鉄腕原子さん、xml_xslさん、knackeさん、tochiさん、gillmanさん、ネオ・アッキーさん、@ミックさん、nice! ありがとうございます。
by YAP (2017-11-13 06:58) 

kuwachan

会社はもちろんのことですが、日本の物作り全てを揺るがすような不祥事が続き、
残念でなりません。きちんとやってきた人たちは悔しさいっぱいだと思います。
車はこれからEVが主流になるのでしょうか?
by kuwachan (2017-11-13 09:04) 

Lionbass

現在MAZDAのディーゼル車に乗ってますが、購入したのがVWの不正発覚とほぼ同時でした。
運転している分には特に不満はないんですが、ディーゼルに未来はなさそうな雰囲気ですね…。
by Lionbass (2017-11-13 11:05) 

aloha

ホンダのアーバン EV コンセプト、
この顔の車が対向車で向かってきたら、思わず笑ってしまいそう。
近未来顔の車が多い中で、これは狙っているのか、いないのか・・・?
by aloha (2017-11-13 21:54) 

YAP

kuwachanさん、Lionbassさん、alohaさん、コメント & nice! ありがとうございます。

kuwachanさん、
何といっても神戸製鋼の不祥事が衝撃的ですね。
あれはもう悪質以外の何物でもないです。
この先、自動運転との協調を考えると、EVの方が圧倒的にやりやすいです。
ですが、まだまだバッテリの供給能力や電力の問題があるので、従来の内燃機関とバランスを取りながら徐々にシェアを伸ばしていくのではないでしょうか。

Lionbassさん、
最近は RDE (Real Driving Emission)という実走行での排ガス性能も評価したりするのですが、ディーゼルではマツダだけが嘘偽りのない結果を出しているようなんですよね。
ただ、製品としての未来はあっても、政策的にディーゼルの未来は暗そうです。

alohaさん、
こういうファニーフェイスなクルマが増えると、街の景色も明るくなりそうですね。
狙いは初代シビックのオマージュだそうです。

kiyoさん、sheriさん、テリーさん、soramoyouさん、nice! ありがとうございます。
by YAP (2017-11-14 07:13) 

リュカ

自動車は日本!ってイメージがあったのに
それも揺らいでます。

>バイクを積んで遊びに行くような、ヤマハらしいモデル

あ、こういう車、相方君ほしがりそうです。

by リュカ (2017-11-15 10:38) 

テリー

自動車は、日本が世界で、誇れる数少ない製造業です。
トータルのCO2 の収支は、変わらないかもしれませんが、中国の都市圏やインドの都市圏等の自動車の排気ガスが、ものすごい場所では、電気自動車にしろというのも、わかります。それと、電気自動車は、部品点数が少ないことから、後発の国でも、造れるとのこと。日本の企業も、負けないで欲しいですね。
by テリー (2017-11-15 18:58) 

YAP

リュカさん、テリーさん、コメント & nice! ありがとうございます。

リュカさん、
なんだか最近、欧州勢に押されっぱなしな感があります。
ヤマハは早く四輪の市販をしてほしいです。
こういう遊び心があるクルマはいいですよね。

テリーさん、
EVはまさにそうで、構造が単純な分、新規参入への障壁も低いです。
何年か前のブログで、EVは中国から普及し始めるだろうと書きましたが、私の予想通りになりました。
単純な構造で製造しやすいという点と、こう書いては何ですが、先進国のメーカほどには多くの検証をせずにバンバン販売すると思ったので。
by YAP (2017-11-16 08:09) 

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