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次期愛車への道 '22 アバルト 595 F595 [クルマ]

私の人生で最後から二番目のクルマになるであろう次期愛車選び。

だんだんとネタになる国内で購入可能な MT車が尽きてきて、このカテゴリの記事も久しぶり。

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今回試乗したのはアバルト 595 の F595。
そのまま "アバルト F595" でいいのかな?
いちおう見積書でも車名とグレードみたいな感じで "アバルト 595 F595" と書かれていたのでそれに倣う。
今回の一連の試乗記では、初となる輸入車。
今、(買えそうな価格帯の)輸入車がほんとに少なくなった。



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アバルトはブランド認知度が日本国内ではそれほどでもないかもしれないので念のために書いておくと、ステランティス(これもブランド認知度は低いか)のブランドの一つで、主にフィアットのモデルをベースに独自のチューニングを施し販売している。
現在日本国内で現行販売されているモデルは、フィアット 500 をベースとしたシリーズ。
ご覧のように、エンブレムを除けばフィアット 500 との見分けは難しい。
かろうじてスポイラー等のエアロパーツで醸し出すスポーティな雰囲気で気づくか。
今回試乗した F595 では、独自の差し色(上の写真ではホワイトのボディにライトグリーンのアクセント)もアピールポイントとなっている。
この型のフィアット 500 が市場に出てからもう15年くらいになるだろうか。
細かい改良を繰り返して息の長いモデルとなっている。
欧州では EV となった新型が出ているので、日本でこれが買えるのもあとわずかだろう。





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こちらがリアビュー。
輸入車(特に欧州車)で残念なのは、ナンバープレート取付部が欧州の横長のプレートに合わせてデザインされているので、日本のナンバープレートを付けると左右にこんな穴付きのスペースが余ってしまうこと。





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この差し色はボディカラーによって組み合わせられる色が異なる。
ちなみに、最近年次改良が発表されたそうで、今後輸入される個体はこの差し色の組み合わせも変わるらしい。





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エンジンは 1.4L ターボ。
従来然としたポート噴射のターボは逆に今どき珍しい。
このエンジンは、FIA-F4 マシンのベースエンジンとなっていて、F595 の "F" は、この "Formula" からとっている。




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この F595 の売りの一つ、バックビューで後続車に強くアピールするのが、この左右それぞれ縦に並んだ4本出しのエキゾーストパイプ。
ここが縦に並んだデザインというのは珍しく、唯一思い出すのは昔のフェアレディ Z432 くらい。
"レコードモンツァ" という名のこのエキゾーストシステムは可変マフラーとなっていて、コックピットの "スコーピオンボタン" を押すことでスポーツモードに切り替わり、マフラーの排圧も低くなり、当然ながら排気音もよりたくましいものになる。


 


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トランスミッションは最近では珍しい 5速の MT。
街中ではせいぜい4速を使うかどうかという場面までだと思うのだが、高速道路で巡行することを考えるとやはり6速目が欲しくなるだろう。
このインパネ下部から生えたようなシフトレバーの位置は独特だが、左腕をステアリングからスっと移動したすぐ近くにあるのですばらしくシフトチェンジがしやすい。
トランスミッションから直にレバーが生えている FR では無理だが、FF車はシフト位置を全部ここにしてほしいくらいに思ってしまう。





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運転席全景。





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インパネは一眼の液晶。
ノーマル状態だと左にタコメータと水温計、右に燃費計と燃料計、中央にデジタルの車速と車両状態が表示されている。
スコーピオンボタンを押してスポーツモードにすると、内側の円周全部を使ったタコメータと車速が大きく表示され、左右外側に水温計と燃料計となるが、その写真は撮り忘れた。





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今回の試乗時は消したままだったが(画面保護のフィルムが貼られたままだったし)、この中央ディスプレイは Apple CarPlay や Android Auto に対応している。
その上の後付け感満載なのはブースト計。
正圧状態から針が動き始めるので、ゆっくり走っているときには動かない。
ディスプレイの下に並んだ3つのボタンのうちの一番左がスポーツモードへと移行するスコーピオンボタン。





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ファブリック地のシートはサポート控えめ。
もう少しサイドサポートがしっかりしていた方がいいかな。
あと、ちょっとヒップポイントが高い。
一番低く下げた状態でもずいぶん高く、あと 10cm くらい低くてもいいくらい。





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リアシートは座ってないが、見た目よりは普通に二人が座れそう。





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リアのラゲッジスペースは意外と広い。
リアシートの背面がパネルむき出しというのは、車両価格を考えるともう少し何とかしてくれと思うべきか、スパルタンなモデルらしくていいと考えるべきか。


キーをひねってエンジンをかけると、1.4L とは思えない図太いエキゾーストノートが。
もうこんな音のクルマは今どきない、というくらい。
1速に入れて走り出すとすぐ、このクルマのポテンシャルがわかるほどに加速していく。
ボディが比較的軽く、トルクも十分なのでカタログの数値以上にパワフルに感じる。
操作性のいいシフトはフィーリングもよく、スコスコと決まる。
ただ、クラッチペダルの位置が少し高い上にそれが奥に踏み込んでいくとともにさらに高くなるので、それをしっかり意識しておかないと一番奥まで行ったときにつま先から抜けそうになる。
こういうホットモデルだと足回りがガチガチだったりするのだが、しなやかでしっかり路面についていっている感じ。
短いホイールベースで回頭性もいいので、ステアリングをスパッと切って、クイッときれいに向きを変えてくれる。
むしろ曲がり過ぎる感があるくらい。
ブレーキは踏み始めがちょい甘い感じで最初は怖いと思ったが、そこから踏み足せばググっと効く。
効き自体は悪くないので、ここは慣れだろう。
スコーピオンボタンを押してスポーツモードに切り替えると、排気音がさらに太くなり、加速感もさらに増す。
アクセルペダルの開度に対するトルクの出し方も変わるようで、わずかな踏み込みでトルクが大きく立ち上がる。
そこはちょっと過敏な感があり、わずかな踏み加減で大きめのトルク変化を感じる。
サソリの毒がちょっと強いか。
街中を普通に乗る分には、ノーマルモードで十分。



そんなところで、いつもの私の偏見による採点を。

エンジン;8点
全開性能スペックは、121kW@5500rpm / 210Nm@2000pm。これがスポーツモードでは 230Nm@2250rpm となる。
昔ながらのポート噴射のターボなので、圧縮比は 9.0 とこれもまた今どきなかなか見ないほど低い。
そういうこともあって、カタログ燃費は WLTC モードで 14.2km/L。
目を張るような新しいメカものはないものの、低速域からパワフルなのは運転していて楽しいし、これくらいのパワーが扱いきれる範囲でちょうどいい。

トランスミッション;8点
FF のトランスミッションとしては極上。
このシフトレバーの位置も申し分ない。
強いて難をあげれば、5速ということでたぶん高速巡行時にはもう1速上が欲しくなるに違いない。
この小さなボディに積める 6速ミッションはないのかな?
あと、クラッチペダルの高さはちょっと気になる。
あと 1~2cm 低いだけでもかなり違うと思うのだが。

操安性;8点
ハンドリングはかなりいい部類に入る。
私が前に乗っていた MINI のような軽快さがある。
すべての挙動がスパッと切れ味鋭いが、そこに神経質な感じはなく、運転していてわかりやすい。
それが街中を走るくらいの速度でも気持ちよく、楽しく運転できる。
ホイールベースの短さが強烈に効いている。
それが逆に、高速での直線安定性は少し不安があるかも。

デザイン;9点
このフィアット 500 のボディは2007年にデビューしたのでそこから早15年。
それにもかかわらず古さを感じさせない、普遍的ないいデザインだと思う。
イタリア本国をはじめヨーロッパでは既に 2020年にモデルチェンジしており、EV 専用車となった。
アバルトもそれに引きずられてモデルチェンジが予定されているが、キープコンセプトながらも眠そうに見えるフロントライト等、あまりいいデザインチェンジとは言えない気がする。
それを考えると、このモデルのデザインの良さが際立って見える。

コストパフォーマンス;5点
純正ナビ、ETC、ドライブレコーダをオプションで付けて、4,650,100円也。
あれ?想定していたよりもかなり高い。
そもそもの素の状態での車両価格は 400万円に届かないと思っていたのだが、それが 4,275,000円。
この半年くらいで 2回の価格改定があり、当然ながら円安の影響等もあり、高い方に変更されていた。
もちろん、フィアット 500 に対しての特別感はある。
が、それがここまでの価格かというと、う~ん...

アディショナルポイントは、今では珍しくなってきた 5ナンバーボディ、しかも全幅 1700mm までギリとかではなく、1620mm というサイズに +2点を上げたい。
衝突安全性とかトレッド広げて走りを良くしたいとかいろいろ理由がついて大きくなるのは理解するが、だからこそ、今このサイズというのはすばらしい。

総合;40点
前述のようにこのボディのフィアット 500 が世に出てから 15年。
少しずつ年次改良を重ね、例えばインパネ周りやスマホ対応のオーディオ等、最新のトレンドをキャッチアップしようとしているとはいえ、やはり古さは感じる。
ただ、その古さは必ずしもネガティブなことばかりではなく、一昔前のクルマの中古車市場価格が高騰しているように、時代とともに変わらない価値が認められているというものもある。
15年前のクルマが新車で買えると考えることもできる。
運転支援系の装備もないが、その分、自分で運転する楽しさにあふれている。
このクルマが買えるのもあとわずかだろう。
だからといって私は今ここで手を出すことはないのだが。
気になる納車までの期間は、ボディカラーによっては国内に在庫がそこそこあるらしいので、そこが合えば1か月も待たずに納車可能とのこと。
本国にオーダーが必要になっても、巷で言われている年単位に近い待ちはなさそうだと。



さて、残念ながら私のクルマ選びもここらでネタ切れの感が。
他にも MT の設定があるクルマはあるものの、とにかく試乗車がない。
前時代的な感もある MT車を選ぶ人は日本国内では数%しかおらず、そういう客のためにわざわざ MT の試乗車を用意するなんてことは店舗経営的に無駄だというのは理解できる。
けど、こんな高い買い物を試乗もせずに決めてしまうことは怖すぎてできない。
これまでに試乗した中から選ぶことにするかなあ。
乗れなかったモデルで唯一心残りなのは、GR ではない素のヤリス。
現行モデルはかなりスポーティな雰囲気に振ってきており、コンパクトなボディを手頃な 1.5L エンジンで引っ張るというのはけっこうおもしろいんだろうなと予想している。
だが、やはりヤリスの売れ筋はハイブリッドモデルであり、試乗車もほとんどそう。
MT の試乗車は、検索しても日本全国で10台あるかないかというところ。
これはもうあきらめるしかないか。


タグ:アバルト F595
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コメント 9

めぎ

日本に十台あって、関東にお住まいなら、試乗のチャンスは大いに有りそうな気がするんですが…
乗って決められますように。
by めぎ (2022-12-28 22:45) 

ナツパパ

ああ...この車がついに出てきましたか。
わたしにとっても憧れなんですよねえ、欲しいなあ、本気で。
YAPさんの採点を見ていて、もう一度欲しいと、そう思いました。
全部込みで500万円かぁ、最後のクルマだったらそれも許してしまいそうです。
...あ、わたしは軟弱にもATを選びそうですが。
by ナツパパ (2022-12-29 09:19) 

リュカ

差し色っていうのがあるのですね。
なかなか個性的だわ!って思いました^^
by リュカ (2022-12-29 15:27) 

YAP

めぎさん、ナツパパさん、リュカさん、コメント & nice! ありがとうございます。

めぎさん、
ヤリスはホームページで検索してみたら、MT の試乗車を用意しているのは全国で9店舗でした。
一番近いところでも自宅から約100Km。
ドイツだと1時間程度でたどり着く距離ですが、日本の首都圏だと高速使っても途中で速度遅くなったり渋滞することも多いので、片道2時間くらいはかかりそうです。
そこまでかけて行く価値があるか、見ずにあきらめるか、難しい選択です。

ナツパパさん、
ATモード付シーケンシャルトランスミッションのモデルもあります。
そちらだとカブリオレもありますね。
終のクルマとするにはなかなか素敵な選択ではないでしょうか。

リュカさん、
こういう差し色を入れるのは、日産の NISMO モデルとかの赤とか、ちょいちょいありますよ。
さりげないドレスアップでセンスあると思います。

xml_xslさん、tochiさん、nmzkさん、ハマコウさん、@ミックさん、鉄腕原子さん、nice! ありがとうございます。
by YAP (2022-12-29 16:50) 

おと

どこまでこだわって試乗するか、迷うところですね〜。
いよいよ決断の時が迫っているのでしょうか。
内装も、全体的に丸みがあるデザインで素敵な車ですね♪
by おと (2022-12-29 17:07) 

Inatimy

日本のナンバープレートも欧州と同じサイズにすればいいのにな。そのほうが文字が大きくて読みやすく。犯罪捜査にも貢献すると思うんですけどね。
試乗車の数が少ないという素のヤリス、レンタカーにはないのかしら。全く乗らずにあきらめるのも勿体無いしねぇ。多少料金を払っても、気になる箇所を確認して納得できるのがいいかも。
by Inatimy (2022-12-29 22:27) 

テリー

全部込みで、500万円。
一寸高い感じはしますが、最後の車なら、いいと思います。
ヤリスにMT 車があって、試乗してみたいなら、ここは、2時間かけても、試乗する価値があると思います。
by テリー (2022-12-30 11:01) 

kyon

マニュアルなんですね。こだわる人、私の周りにもいます。
この車はいいですよね。輸入車なら私もこういう車がいいです。
国産なら私はトヨタ、夫はスバルが好きです^^
by kyon (2022-12-30 11:21) 

YAP

おとさん、Inatimyさん、テリーさん、kyonさん、コメント & nice! ありがとうございます。

おとさん、
私は年齢的にあと2台程度だと思うので、これはこだわりたいところです。
スクープ系雑誌によると、来年は私にとっては魅力的なモデルが出ることはなさそうなので、今年乗った中から決めることになりそうです。

Inatimyさん、
日本のナンバープレートの形状は、アメリカと合わせてるんですよね。
日本のレンタカーは、極一部の店を除けばほぼ AT車しかないんですよ。
ヨーロッパだとまだまだ MT がスタンダードなのですが。
素のヤリスのようなコンパクトカーだと、スポーツ系車種を扱うような特殊なレンタカー屋でも置いてないでしょうね。

テリーさん、
アバルトということを理解していればこの価格もある程度想定内ではあるのですが、フィアット 500 と同じにしか見えない人であれば、どんな人が買うのかという話になります。
うちのかみさんも間違いなくそっち側で。
ヤリスの MT は強烈な魅力があれば時間かけてでも行く価値ありますが、積極的に選ぶほどのものがあるかというと...となります。

kyonさん、
トヨタとスバル顔好きなご夫婦だと、GR86 か BRZ が一番の選択肢になりますね。(私の基準です)
そういえば、GR86 は乗りましたが、BRZ は乗ってませんでした。
スバルブランドのせいか、アイサイト推しで試乗車は AT が多いんですよね...

sheriさん、nice! ありがとうございます。
by YAP (2022-12-30 13:25) 

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