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2019 夏の帰省 家族会議 [国内ウロウロ]

今年の夏の帰省は、楽しい話ばかりではなく、辛く重苦しい話もあった。
というか、そっちの方がはるかに自分の心に残ってしまった。



まずは、80歳を超えている父のクルマの運転問題。
そう、父は今でも毎日のようにクルマを運転している。
今回の帰省の大きな目的の一つが、父に運転免許を返納してもらうように弟と一緒に説得することだった。

巷では、高齢者の運転ミスによる悲惨な事故が頻繁に報道されている。
それまで順風満帆な人生を送っていた人が、その人生の最終章のステージで奈落の速に突き落とされる不幸へと転じる。
事故の被害者の人生を奪ってしまうということはもちろんのこと、加害者となった側の家族までがネット上で特定され、激しいバッシングを受けて人生がめちゃくちゃになる。
そんな事態は何が何でも避けて、静かに穏やかに老後を過ごしてほしい。

こういう話をどう切り出してどう伝えるか、弟と事前に話をつめていた。


今回、帰省したときに実家の最寄り空港から実家までの移動に、父の運転で迎えを頼んでいた。
私の目から見て、父に安全に運転を続ける力があるのかどうか判断するために。

結果は、散々なものだった。
ここでその全ては書かないが、傍からこういう動きのクルマを見たら、自分の身の安全を守るために近づかないようにしようと思うくらい。
自動車教習所の検定であれば、開始数分で中止を命じられるレベル。


帰省してから数日後、弟が実家に来たときに話を切り出した。
案の定、「自分は気をつけて運転しているから大丈夫だ」という根拠のない強い自信をもって反論してくる。
私が自分の目で見た事実を伝えても、「そういう偏見を持った目で粗探ししているだけだ」と聞く耳持たない。
見事なまでの典型的な危ない老人だ。
弟には3歳の娘がいるのだが、「池袋の暴走事件(あれは事故ではなく事件だ)の被害者が A ちゃん(弟の奥さん)と B ちゃん(弟の娘)だったとしても、同じことを言えるのか?」と言っても、自分のことは棚に上げて、「あんなヨタヨタした爺さんと一緒にするな」と。
もう、正常な、客観的な判断力ができなくなっている...
何かにつけて、「歳とってあれもこれもできなくなった」と言っているくせに、なぜだかクルマの運転だけは衰えていないと思っている危なさ。
アクセルとブレーキを踏み間違えて事故を起こしたら、平気な顔で「ブレーキを踏んだけど効かなかった」と言いそうだ。
その後も兄弟二人で説得を続け、いちおう、来年の夏の免許更新時期に返納、それまでにどこかでクルマをぶつけたりこすったり軽微なものでも発生したら、その時点で返納、というところに落ち着いた。
もちろん、周り全ての安全のためには、即時免許もクルマも取り上げるのが正しいのだが、ここまでしかできないというところに私たち兄弟ともに無力さを感じずにはいられなかった。


ちなみに、よくこの手の事故のニュースでドライバが「ブレーキを踏んだが効かなかった」と証言したりしているが、エンジン屋として言わせていただくと、それはありえないと言い切れる。
最近のクルマのエンジンやモータなどのパワートレインはかなり緻密な電子制御で動いているが、暴走防止ということに関しては、一般の方が想像できないほどに神経質にケアしている。
出力制御は冗長系になっていて、複数のセンサがそれぞれ同期した動きにならなかったり、制御側でバグらしき矛盾があった場合、クルマが暴走しない側の強い抑制が働く。
開発中の評価では、そんなこと起こり得ないだろうというくらいの極端な異常状態を再現して、それでもフェイルセーフが働いてドライバが危険を感じるような加速をしないことを確認をする。

話がそれたが、その他にも家族であれこれ重い話をした。

それらの内容についてはとてもここでは書くことができない内容なので、自分の胸にとどめておく。


今年の夏は、いろんな意味で忘れられない夏となった。

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コメント 8

ふにゃいの

我が家は、運転しないので、返納問題はないですが、
毎日一緒にいるとほんとに日々少しずつ、
話と記憶が会話していてかみ合わないのがわかります。
(自分も年をとっているせいもあるのですが)
しかもへんなところ、しっかりしているというか達者なので、
余計かみ合わないことが^^;
なんとなくYAPさん家の話し合いの様子が想像できてしまいました。
by ふにゃいの (2019-10-06 21:41) 

こちさ

車の運転ではないけれど、
母親のことで長い間困っていることがあります。
ボケ始めているのではないかと思ったりもしますが、
なかなか難しい問題ですよね。
by こちさ (2019-10-07 00:27) 

めぎ

それは大変でしたねえ…事故なく期限まで過ごせますように。
家族間の問題って、話し合いが本当に難しいですよね。
少なくとも車の件では弟さんとも意見が一致していて家族会議ができたYAPさんが羨ましいですよ。私の方は、それすらなかなか。
by めぎ (2019-10-07 01:04) 

Inatimy

車の運転、自損事故でお父さま自身がケガなさるのも心配ですよね。
私の父は免許はまだ持ってるようですが車は手放したようです。
運転免許証は身分証明としても使えますもんね。
でも、空になったガレージを見る目は寂しそうだったと母が。
by Inatimy (2019-10-07 05:39) 

リュカ

ああ、それは本当につらい問題ですよね。
うちの父親も頑固で、母が言ってもまったく聞く耳はもたなかったのですが、わたしが帰ったときに言ったら、黙って聞いていて翌日「返しに行く!」と言ってくれたので助かりましたが。。。
(まあ、父の場合は自爆の事故をおこしてしまったのも、やめるきっかけに大いに影響しましたが)
ダンナのお父さんも、ニュースを見たり、ダンナのお姉さんが口を挟んでくれたので、返納してくれました。
息子さんだと、なかなか聞く耳を持ってくれないのでしょうかね;;
来年の夏まで、何事もなく過ごして下さること祈ります。
by リュカ (2019-10-07 09:27) 

YAP

ふにゃいのさん、こちささん、めぎさん、Inatimyさん、リュカさん、コメント & nice! ありがとうございます。

ふにゃいのさん、
話がかみ合わないのはよくあります。
思考のペースが違うんでしょうね。
あとは、頭の中で考えてその場では言葉に出していないことを相手も考えていると勝手に思い込んで話の途中みたいなところから話し始めたりとか。

こちささん、
うちは幸いにもまだ頭の方はしっかりしてます。
初めて介護に直面したときの本とか買って読んだりしましたが、その時が来たら頼れる公的機関はフル活用しなければと思いました。

めぎさん、
遠い異国で暮らしていると、それぞれの国ごとの価値観の違いも自分の中にできてくるし、より話が複雑になりそうですね。
私のところも、私が遠く離れたところに住んでいて、弟は両親の近くに住んでいるので、その辺りのギャップや温度差はあるんだろうなと思います。
遠くにいるとできることに限りがありますが、近くにいる弟が不利益で困ることができるだけないようにしないといけないです。

Inatimyさん、
正直なところ、怪我しない程度の小さな自損事故で深刻度を自覚するのがあきらめる一番の近道だろうなと思います。
Inatimyさんのお父様は、冷静な判断力を持っていらっしゃるんですね。

リュカさん、
やはり息子と娘とでは違うんでしょうかね?
男同士だとプライドが邪魔するとかかな?

鉄腕原子さん、ネオ・アッキーさん、xml_xslさん、knackeさん、スイカが好きさん、@ミックさん、nice! ありがとうございます。
by YAP (2019-10-07 12:47) 

sheri

お仕事で関係があると、余計に気になりますね。
私も頑固な父と言葉で戦うことが増えているので、ご苦労お察しします。
でも最近だんだん自信がなくなってきたのか、以前は嫌だと言っていたことを受け入れることも。
時間が来て、受け入れてもらえるといいですね。
by sheri (2019-10-07 18:05) 

YAP

sheriさん、コメント & nice! ありがとうございます。
歳をとると頑固になるか丸くなるか、どちらか極端な気がします。
私の実家は私が高校まで住んでいた町からは引っ越して、その地方ではそれなりに大きな街に移ってます。
なので、クルマを手放したとしても、けっこうバス網とか本数とかもしっかりしていて言うほど不便ではないんですよね。
それに気づいてくれればいいのですが。
by YAP (2019-10-07 18:53) 

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