自動車業界 100年に一度の変革期は? [クルマ]
アメリカ旅行記の途中ではあるが、前回、アメリカで借りたレンタカー、ROGUE の記事の中で、運転支援系のことに触れたので、今日はその流れで最近の自動車業界の変化の話とその微妙な風向きの変化、あとは個人的に思うことを。
タイトルの通り、今は自動車業界にとって 100年に一度の大変革期と言われている。
約100年前というとガソリン自動車が量産可能となった頃なので、事実上これまでになかったほどの最大級の変革が起こっていると言える。
四つの大きなキーワードの頭文字をとって、"CASE" と言われたりしている。
C: Connected (通信)
A: Autonomous (自動化、自動運転)
S: Shared & Service (シェアリング)
E: Electrification (電動化)
これら、単品でも大きな変化と言えるものが同時に普及の節目がやって来たということで、多くの人の注目を浴びている。
が、ここにきて、"A" と "E" が少々怪しい雲行きになってきている。
まずは、"E" 電動化の話を。
ここ数年、アメリカのテスラと中国メーカを中心に、クルマの電動化が加速。
そこに欧州勢も加わり、電動化競争が始まりそうになっていた。
そんな世界の流れの中で、日本車メーカは慎重な姿勢を見せていて、それが「世界に取り残されるぞ!」とか、「何周遅れだよ?」とか、マスコミは言いたい放題だった。
そんな電動化の流れがここにきて不都合な真実がいろいろ露呈し急減速。
特にこの前の冬に、長距離移動途中の充電待ちや、そもそもの航続距離の頼りなさが世界各地で露呈し、まだ普及する技術レベルではないということがわかってきて、やはり最適解はハイブリッドではないか、と風向きが変わってきている。
長期的に見ると電動化への移行は自然な技術の流れであるが、現在の電池技術、充電技術、発電技術の実力を考えると、少なくとも今ではない。
全個体電池が実用レベルになれば、航続距離や重電の問題は改善されるとも言われているが、そもそも発電時の CO2 排出や、EV 製造時から廃棄時までのライフサイクルでの CO2 排出量を考えると、EV がエコかどうかはかなり疑問。
発電時に CO2 を排出しない風力発電や太陽光発電も大きな環境問題と背中合わせだし、原発はさらに深刻な環境問題の先送りにしかならないし。
仮にこれらの発電量が増えたところで、EV のための電力を賄う助けになるかというと、マージナル電源(このことを書くとさらに長くなるので興味のある方は検索を)を考えると電源構成に大改革が必要。
それを自動車メーカや各国行政はわかっていながら、不祥事で人気が一気に落ちたディーゼルに代わる(見せかけの)CO2 削減の手段として都合の悪いことは表に出さずゴリ押ししてきた。
最近は、ようやくその矛盾する部分を技術講演や論文で言い始める人も増えてきた。
カーボンニュートラルは真剣に考えなければならないが、だからこそ、一見直接 CO2 を排出せずクリーンに見える EV に安易に舵を切るのは、今は環境に逆行する要素が多すぎる。
"A" 自動運転の方も、技術的には良いところに来ていると思うが、個人的にはここからが長いと思う。
仮に自動運転のクルマが事故を起こす、あるいは巻き込まれた場合、法的な責任の所在がどうなるか、これは以前から議論されているところ。
もちろんそういうハードルもあるが、ビジネスとして商用化するのがそれよりもさらに難しそうだ。
実際、中国では乱立していた運転支援~自動運転技術開発メーカが、ビジネスとして成立する見込みが立たないという理由で撤退が相次いでいる。
開発費が膨大だし、実現に必要な部品類も高額なので、当然ながら商品化するとなるとそれなりのプライスがこれまでのクルマの価格に上乗せされるのだが、それをユーザが受け入れられるか?
これまでに普及してきた快適装備、例えばエアコンとかであれば、安価なモデルであれば温度調整のないマニュアルエアコン、高級モデルであればオートエアコン、さらには各席独立温度制御とか、モデルの価格帯によって機能を選択できる。
だが、レベル4の自動運転となると、安価なクルマは少々反応鈍いです、とか、歩行者を避けきれず轢いてしまうかも、とかいうわけにはいかない。
普及価格帯から高級モデルまで、それなりのレベルのものが求められるので、自ずと安価なモデルに対しての価格インパクトが大きくなってしまい、ただでさえ昨今はクルマの価格が高くなったと言われているのに、クルマという製品群が大衆には手の届かないものになりかねない。
もちろん運転支援システムにはレベルがあるので、大衆車はレベル2まで、高級車はレベル4を、という道はあると思うが、レベル2からレベル3の壁が大きすぎて(なのでレベル3をすっ飛ばしてレベル4を目指す、という考え方もある)、ほんとにビジネスとして実現できるのかが見えない。
(ちなみに、条件付きでレベル3を製品化しているモデルはあるが、その条件が限定的過ぎて、「レベル3を実現している」とは言えないと私は思っている。)
新しい技術やサービスに否定的なコメントをすると「老害」と言われたりするだろうが、不都合な真実はそれはそれで多くの人が正しく知るべきだと思う。
約100年前というとガソリン自動車が量産可能となった頃なので、事実上これまでになかったほどの最大級の変革が起こっていると言える。
四つの大きなキーワードの頭文字をとって、"CASE" と言われたりしている。
C: Connected (通信)
A: Autonomous (自動化、自動運転)
S: Shared & Service (シェアリング)
E: Electrification (電動化)
これら、単品でも大きな変化と言えるものが同時に普及の節目がやって来たということで、多くの人の注目を浴びている。
が、ここにきて、"A" と "E" が少々怪しい雲行きになってきている。
まずは、"E" 電動化の話を。
ここ数年、アメリカのテスラと中国メーカを中心に、クルマの電動化が加速。
そこに欧州勢も加わり、電動化競争が始まりそうになっていた。
そんな世界の流れの中で、日本車メーカは慎重な姿勢を見せていて、それが「世界に取り残されるぞ!」とか、「何周遅れだよ?」とか、マスコミは言いたい放題だった。
そんな電動化の流れがここにきて不都合な真実がいろいろ露呈し急減速。
特にこの前の冬に、長距離移動途中の充電待ちや、そもそもの航続距離の頼りなさが世界各地で露呈し、まだ普及する技術レベルではないということがわかってきて、やはり最適解はハイブリッドではないか、と風向きが変わってきている。
長期的に見ると電動化への移行は自然な技術の流れであるが、現在の電池技術、充電技術、発電技術の実力を考えると、少なくとも今ではない。
全個体電池が実用レベルになれば、航続距離や重電の問題は改善されるとも言われているが、そもそも発電時の CO2 排出や、EV 製造時から廃棄時までのライフサイクルでの CO2 排出量を考えると、EV がエコかどうかはかなり疑問。
発電時に CO2 を排出しない風力発電や太陽光発電も大きな環境問題と背中合わせだし、原発はさらに深刻な環境問題の先送りにしかならないし。
仮にこれらの発電量が増えたところで、EV のための電力を賄う助けになるかというと、マージナル電源(このことを書くとさらに長くなるので興味のある方は検索を)を考えると電源構成に大改革が必要。
それを自動車メーカや各国行政はわかっていながら、不祥事で人気が一気に落ちたディーゼルに代わる(見せかけの)CO2 削減の手段として都合の悪いことは表に出さずゴリ押ししてきた。
最近は、ようやくその矛盾する部分を技術講演や論文で言い始める人も増えてきた。
カーボンニュートラルは真剣に考えなければならないが、だからこそ、一見直接 CO2 を排出せずクリーンに見える EV に安易に舵を切るのは、今は環境に逆行する要素が多すぎる。
"A" 自動運転の方も、技術的には良いところに来ていると思うが、個人的にはここからが長いと思う。
仮に自動運転のクルマが事故を起こす、あるいは巻き込まれた場合、法的な責任の所在がどうなるか、これは以前から議論されているところ。
もちろんそういうハードルもあるが、ビジネスとして商用化するのがそれよりもさらに難しそうだ。
実際、中国では乱立していた運転支援~自動運転技術開発メーカが、ビジネスとして成立する見込みが立たないという理由で撤退が相次いでいる。
開発費が膨大だし、実現に必要な部品類も高額なので、当然ながら商品化するとなるとそれなりのプライスがこれまでのクルマの価格に上乗せされるのだが、それをユーザが受け入れられるか?
これまでに普及してきた快適装備、例えばエアコンとかであれば、安価なモデルであれば温度調整のないマニュアルエアコン、高級モデルであればオートエアコン、さらには各席独立温度制御とか、モデルの価格帯によって機能を選択できる。
だが、レベル4の自動運転となると、安価なクルマは少々反応鈍いです、とか、歩行者を避けきれず轢いてしまうかも、とかいうわけにはいかない。
普及価格帯から高級モデルまで、それなりのレベルのものが求められるので、自ずと安価なモデルに対しての価格インパクトが大きくなってしまい、ただでさえ昨今はクルマの価格が高くなったと言われているのに、クルマという製品群が大衆には手の届かないものになりかねない。
もちろん運転支援システムにはレベルがあるので、大衆車はレベル2まで、高級車はレベル4を、という道はあると思うが、レベル2からレベル3の壁が大きすぎて(なのでレベル3をすっ飛ばしてレベル4を目指す、という考え方もある)、ほんとにビジネスとして実現できるのかが見えない。
(ちなみに、条件付きでレベル3を製品化しているモデルはあるが、その条件が限定的過ぎて、「レベル3を実現している」とは言えないと私は思っている。)
新しい技術やサービスに否定的なコメントをすると「老害」と言われたりするだろうが、不都合な真実はそれはそれで多くの人が正しく知るべきだと思う。
xml_xslさん、ずん♪さん、kuwachanさん、鉄腕原子さん、nmzkさん、@ミックさん、リュカさん、sheriさん、kiyoさん、nice! ありがとうございます。
by YAP (2024-07-20 22:05)
こちらでは、中国製の電気自動車に高い関税をかけると決まったそうです。
そうなると、ますます庶民には手が出ないものになりそうです。
by めぎ (2024-07-20 22:12)
マイカーのない暮らしに慣れてしまってる我が家、公共交通機関の車の電動化くらいかな、日常では。バスがすっかり電動化した時は、走りが静かだし、乗り心地がいいし、びっくりでした。
このまま全部の車が電気に頼っていくのかしら・・・消防車とかも?
by Inatimy (2024-07-20 23:02)
めぎさん、Inatimyさん、コメント & nice! ありがとうございます。
めぎさん、
最近の欧州は、自動車業界を守ろうという政策から必死な感があふれでていますね。
'15年のディーゼルゲート事件以降、日本のハイブリッド技術に追いつくのが難しいと思ったら一気に EV 化を進めようとして、この中国製 EV への関税強化もその流れですね。
一方、急速な EV 化の矛盾が見えてきたら、一転して eFuel であれば '35年以降も OK と言い始めましたし、迷走感があります。
Inatimyさん、
消防車の電動化はアリだと思います。
長距離運転の必要ないですから。
ただ、水のポンプとかのことも考えるとそれなりにバッテリの容量も必要そうで、その辺りのバランスがとれるのであれば EV 化の可能性はあると思います。
by YAP (2024-07-21 06:23)
運転支援システムって、いろんなレベルがあるんですね。今こちらで乗っているボルボのレベルが何なのか気になります^^(走っている間の注意喚起が多いです。サービスの一部なのかな。)長距離を走るときに、前の車を追従できるのは、便利だとは感じますが、これ以上の自動運転って必要なのかなぁと思っちゃいます。あ、でも年配の方のブレーキとアクセルを間違えるなどの事故を防げるようになるのでしょうか。。
by おと (2024-07-21 23:31)
おとさん、コメント & nice! ありがとうございます。
最近のクルマであれば、レベル1か2相当の装備はついているのではないでしょうか。
自動ブレーキは、万が一の事態の回避につながる場合があるので、ないよりあった方が良いと思います。
https://jidounten-lab.com/autonomous-level
ふにゃいのさん、nice! ありがとうございます。
by YAP (2024-07-22 06:55)
EV に関しては、慎重なトヨタが、逆に、正解だったのかもしれません。
EV は、手の届く値段で、航続距離600km 位のが出てきましたが、やはり、800km 位の航続距離があるハイブリッドの
便利さには、かないません。そして、私を含めて、古いマンション住まいの人には、充電の問題があり、難しいです。
by テリー (2024-07-22 11:15)
テリーさん、コメント & nice! ありがとうございます。
EV に対応するインフラはまだまだですね。
使い勝手が悪く、価格が高いとなると、なかなかメリットを感じられません。
しかも環境に対しても??となると、今はまだそのタイミングではないです。
by YAP (2024-07-23 06:57)