ROGUE [アメリカ旅行]
'24年 GW のアメリカ旅行記。
ここで、この旅の相棒となるレンタカーを紹介。
日産のローグ。
エクストレイルの北米モデルだが、全グレードがシリーズハイブリッドの "e-POWER" の日本仕向けとは異なり、こいつは純ガソリンエンジン車。
私はこれまでのブログでさんざん書いてきたとおり、もともと SUV には興味がない。
そんな私が SUV を指定してまで借りたのは、この旅行中、たぶんたどり着くまでに未舗装路を走るだろうなという目的地があるため。
結果的に、予想以上の悪路を走る事態が発生したため、最低地上高の高いこいつで良かった。
意外なうれしさがあったのはエンジンで、可変圧縮比エンジンの KR15DDT を搭載したグレードだった。
3気筒のターボとなる。
最高出力;150kW/5600rpm
最大トルク;305Nm/2800-4000rpm
日本では、このエンジンを e-POWER の発電用に使っているが、もったいない!
何のための可変圧縮比?
発電するだけなら、こんな手の込んだエンジン使わなくても、安いポート噴射のエンジンでも燃費のいい運転領域を狙っておけばかなり燃費を向上させれるはず。
そんな使い方では、可変圧縮比とか宝の持ち腐れと思っていた。
これが北米では純エンジン車として乗れるわけなので、私のようなエンジン屋は、ウキウキワクワクが止まらない。
エンジンのフロントカバー周りでクランクシャフトの可変部分に気づけるような形状が見えるかなと思って覗くも、あまりにギッチギッチで下の方までよく見えない。
インパネのディスプレイの切り替えで、現在の圧縮比がリアルタイムでモニタできるのだが、それを見ているとかなり緻密に制御されているのがわかる。
上の写真の液晶部右側で、圧縮比が高いときは針が "ECO" 側に下がり、低いときは "Power" 側に上がる。
ちなみに左はブースト計。
単位が psi (pound / square inch) なのでわかりにくいが。
パーシャルで負荷が低いときは高圧縮比(14.0)、加速時等負荷が高いときは低圧縮比(8.0)、その間の運転域もきれいにつないでいる。
もう一点の注目ポイントは、日産だけがやたらと使う言葉「自動運転」のプロパイロットを搭載。
いちおう運転支援レベルの定義でいえば、レベル 2 にはなるのかな?
個人的にはレベル 1 よりはちょっと上くらい、1.3 くらい?
ステアリングホイール全体を撮った写真がなかったが、上の写真でギリギリ右下隅に青い丸が重なったようなボタンが見える。
これでクルーズコントロールを開始すると、前走車との車間を一定に保ってくれるのはもちろん、完全停止まで前走車追従していく。
あとは、カーブとかでステアリング操作をアシストしてくれる。(手放しはダメ!)
こういうのは、まだ自分のクルマには不要だが、せっかくの機能だし、私の行くアメリカは元々交通量が少ない道を走るので、積極的に使っていく。
感想としては、車間維持の機能はそれなりに優秀だが、ステアリングアシストには粗さが見えた。
基本的に車線認識してその幅の中で自車の位置を真ん中あたりで走らせようとフィードバック制御をしているみたい。
この振幅が大きいときがあり、車線を維持しようとステアリング操作に介入してくるにもかかわらず、左右どちらかの車線をまたいでエラー音で警告してくる。
ん?勝手にアシストしておきながらこの仕打ち?
あと、カーブの曲率がきついと、割とすぐにあきらめてそれまでのアシストをすべてキャンセルし、全操作をドライバに戻してくる。
レベル 2 までの運転支援では、ドライバが常時システムを監視しておかなければならないので、それを理解して運転していればそう慌てることはない。
まだこういうレベルだから、運転支援システムに運転を完全お任せするレベル3では、作動条件は高速道で渋滞等の低車速時と限定されているのは仕方ない。
システムが操作不可と判断し急にドライバに運転を戻す際、車速が早いとその受け渡し遷移時がかなり危険なので。
これはローグの問題ではないのだが、カーナビがついていない車両だった。
以前は、Hertz では独自の "Never Lost" という、シンプルだが頼りになるカーナビのオプションがあったのだが、今は Hertz 予約時にカーナビのオプションが一切ない。
最近は iPhone CarPlay や Andoroid Auto でのナビゲーションが一般化してきているということでカーナビオプションは廃止されたらしい。
旅先が都市部近郊だけなのであればそれでもいいのだが、生憎私たちの行くところは、携帯電話が圏外になるところが多い。
こういうことになるかもしれないというのはちょっと気にしていたので、とりあえず初日に行く範囲は Google map のオフラインマップをダウンロードしていたので問題なかった。
いちおうトランクも。
これだけ広いと大きなスーツケースもリアシートを倒さずに載せられる。
水のペットボトルが散乱しているが、これは現地到着してすぐにガソリンスタンドに寄って 18本パックで買ったもの。写真は数日経ってから写したものなので半分くらいになっている。
スーパーとかだと24本とか36本パックとかのでかいパックしか売っておらず、ちょうどいい数のパックをさがすのに少してこずった。
それではここで、久しぶりとなる私の偏見によるクルマ採点を。
エンジン;9点
全開性能スペックは上述の通り、201hp(204PS, 150kW)@5600rpm / 225lb-ft(305Nm)@2800-4000rpm。
低圧縮比を 8.0 としているのは、一番安いレギュラ指定とするためと思われる。
もちろんハイオク指定にして圧縮比を 10.0 くらいにまでできれば燃費はもっと良くなると思うが、これでも City/Highway をまとめたものでカタログ上は 33mpg (14.0km/L)。
実際の私の利用期間での燃費は返却時のお楽しみ。
まあ、燃費とパワーを両立という可変圧縮比の効果は十分に引き出しているのではなかろうか。
クランクシャフト周りの複雑なリンク構造もあってか、6000rpm からレッドゾーンと高回転はあまり回らない。
クルマの性格上、それは特に問題ないだろう。
トランスミッション;6点
XTRONIC CVT という大きなレシオカバレッジを実現した無段変速ミッション。
CVT はエンジン回転の上昇と車速に違和感があるというネガがずっと言われていたが、最新の CVT では有段ミッションのようなシフトチェンジの感覚を出すために仮想的にステップ式の変速っぽい制御としている。
さらにマニュアルモードにすれば、8速 AT のように操作が可能。
仮想的な有段ミッションとはいえ、CVT なので変速ショックはほとんどない。
いつものように AT (CVT) のミッションの評価はよくわからないが、この旅行のように長距離移動での使用が主だと CVT は燃費で足を引っ張っているとは思う。
使用感は悪くない。
操安性;5点
SUV だからなのか、このモデルだからなのか、ロールが大きすぎ荷重移動がもっさりしていて、気持ちよさに欠ける。
デザイン;6点
もともと SUV に興味があまりないので、デザインもいいとも悪いとも思わず。
コストパフォーマンス;7点
私が乗った SV というグレードで $30,540。
日本円に換算すればかなりの価格となるが、アメリカ人の貨幣感覚では 1 USD = 100 JPY くらいだと思われるので、かなりスペシャルなエンジンを搭載したモデルがこの価格でと考えると悪くない。
アディショナルポイントとしては、やはり ADAS のプロパイロットを考慮しなければならないが、これは期待が大きかっただけに残念感も大きく、-3点。
もうちょっと頼りになる機能だと思っていたが、頼りにし過ぎていると痛い目にあいそう。
あくまでも運転支援は「支援」であって、自分で運転する意思を忘れてはいけない。
総合;29点
低い点数になったのは、私があまり SUV に乗らないし好まないということもあってのものであり、実はこの点数ほどには悪い印象はなかった。
むしろ、空港でクルマを準備する待ち時間にしびれを切らしてマスタングや RAM を選ばなくてよかったと、旅の途中でどれほど思ったことか。(そのうち記事の中で)
以前にも書いたことがあるが、どんなクルマも2~3日乗れば良いところも悪いところもわかり「オレのクルマ」となって、それなりの一体感を持って乗れる。
高い点数をつけなかった操安性も、このクルマに慣れてしまえばコーナー時の荷重移動もこういうものだと理解してイメージできるので、それなりに狙ったとおりに走れる。
現地 8日間の相棒として、楽しくアメリカの大地を走り回った。
おまけの写真。
毎回始動時に、センターディスプレイにこんな文章が表示される。
要は、このクルマは通信して各種データをアップロードして記録しているのでそれを承知してくれ、と。
今、自動車メーカ各社は OTA (Over The Air) という無線通信で走行中の車両から様々なデータを吸い上げて、"何かいいこと" に使おうとしている。
"何かいいこと" と書いたのは、大量のユーザー走行データを集めたところで、まだそれをどのように有効活用しようか思案中のメーカがほとんどなので。
例えば、何かの故障が発生する兆候が見られたらユーザーに早めにディーラーに行って点検するよう促すとか、そんな感じでトライをし始めているが、まだ実用的なメリットにつなげるのはこれからというところ。
ユーザーの走行データを集めるのは、個人情報保護という観点でメーカ側の意図を正しく示した上でユーザーの同意がいるので、そのような文章を毎回表示して合意したことにする、というわけ。
もちろん一方的なものではなく、オーナーはクルマ購入時に一通り説明を受けて合意の署名をしているはず。
2024-07-17 19:00
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コメント(5)
そっか、アメリカだと車での移動がメインになるのですね。
by リュカ (2024-07-18 10:12)
X-Trail でしたか。
カーブで、SUV だとRoll が、大きいというのは、RAV4 の前に乗っていたバンガードで、感じました。
一度、高速道路で、ひっくり返るのではという位に、Roll したのは、驚きでした。RAV4 は、まだ、ましというか、
慎重に、運転していますので、そういう経験はないですが、--。
日産の売りのプロパイロットの性能が、いまいちのようですね。
意外でした。
by テリー (2024-07-18 20:28)
リュカさん、テリーさん、コメント & nice! ありがとうございます。
リュカさん、
私が行こうとする場所は、ほとんど公共交通機関はないですし、日本からも現地でさえもツアーがなかったりするので、クルマは必須です。
テリーさん、
運転支援システムは、その特性を理解して、運転の責任はやはり自分なのだとしっかり自覚することが重要です。
EV とか運転支援のことに少し触れたので、ここらでちょっとそういう記事を挟もうかと思います。
xml_xslさん、tochiさん、@ミックさん、nmzkさん、kiyoさん、鉄腕原子さん、ふにゃいのさん、kyonさん、sheriさん、nice! ありがとうございます。
by YAP (2024-07-19 07:09)
しっかり走れる車を選択、さすが。手配を待った甲斐がありましたね~。友達の話を聞いても、アメリカ旅行って移動距離が、想像以上で驚きます。YAPさんも、たくさん走られたんだろうな。。
by おと (2024-07-19 18:36)
おとさん、コメント & nice! ありがとうございます。
たくさん走りましたよ。
今年の1月に納車だった愛車のそれまでの走行距離の倍くらいを1週間ちょっとで走りました。
kuwachanさん、nice! ありがとうございます。
by YAP (2024-07-20 06:28)