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次期愛車への道 '22 トヨタ GR ヤリス RZ "High performance" [クルマ]

私の人生で最後から二番目のクルマになるであろう次期愛車選び。


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今回試乗させていただいたのは、トヨタの GR ヤリス。
ヤリスの名前がついているものの、プラットホームからして全くの別モノ。
トヨタが世界ラリー選手権 (WRC; World Rally Championship) で勝つためのホモロゲーションモデルとして開発された。
私の今のクルマ、シトロエン DS3 も 2011, 2012 年の WRC チャンピオンマシンであるので、WRC つながりで気になっていたモデル。




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フロントマスクは、ノーマルヤリスと同形状のフロントライトではあるものの、ウォータースプレー付きの空冷インタークーラーを冷却するために大きく開いたフロントグリルで別のクルマに見える。
ノーマルヤリスもかなりスポーティでスタイリッシュではあるが、それとは違う荒々しさを感じる。





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一方、リアビューは一見してヤリスとわかるデザイン。





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ただ、よく見るとリアのトレッドを稼ぐためにリアフェンダーが大きく張り出しており、ただならぬ迫力を醸し出している。





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その他の外見上の特徴としては、ノーマルヤリスには設定されていない 3ドアボディとカーボンで軽量化したルーフ。





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エンジンは、今のところこのクルマの専用となる 1.6L 3気筒ターボ。ポート噴射と筒内噴射を併用した D-4ST 採用。
(「今のところ」と書いたのは、この秋にこのエンジンを搭載した GR カローラの発売が予定されているため。)
3気筒エンジンは、燃焼間隔がクランク角で 240'CA 毎なので排気圧力の干渉がないというメリットがある半面、低回転で振動が大きくなってしまうデメリットがある。
こういう尖ったモデルであればそのデメリットはあまり目くじらを立てるほどのものではないし、アイドルストップもついている。
ただの専用エンジンというだけでなく、まるで試作エンジンのように職人さんが各部品を計測した上で各部のクリアランスを調整した上で組み立てられる。




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トランスミッションは、シフトダウン時にブリッピングして回転を合わせてくれる 6速 iMT。
他のトヨタ車同様、リバースはシフトノブ付け根のカラーを引き上げて入れるタイプ。





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インパネ周りがすっきりしている半面、スイッチ類をステアリングホイールのスポークに集めてしまっているので、そっちはかなりゴチャゴチャ感がある。
手元で操作できるというメリットはあるが、クルーズコントロール以外は走行中にあれこれいじる類のものでもないような気がするので、こんな風にしなくても...と個人的には思う。




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機械式の回転計、速度計の間の液晶部分はマルチディスプレイで表示させる情報をいろいろ変更でき、試乗時は吸気管圧(ブースト計)を表示させていた。





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最近のトヨタ車の例に倣いディスプレイオーディオとなっており、Apple CarPlay や Android Auto に対応している。





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シート形状はサイドサポートがしっかりしていて、ホールド感は良好。
このトップグレードだと、シート表皮はウルトラスエード + 合成皮革となる。





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4人乗りなのでシートは左右の独立感がある。
左右シートの間のくぼみはなんだろう?
写真を撮ったときには気づかず、自宅に帰って見返しているときにこれに気づいた。
ノーマルヤリスよりもルーフが低いが、GR86 に比べれば楽に座れそうだ。





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ラゲッジ容量は 174L となっているが、夫婦二人には十分な大きさ。





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トランクの底が浅いと思ったら、その下にバッテリーが。
FF ベースであるために前後の重量配分が前よりなのを少しでも均一化させようと努力している。

では走らせてみよう。
担当してくださったスタッフはかわいらしい女性の方で、ちょっとしたドライブデートの気分でおじさんはちょっとうれしい気持ちでスタート。

豊かなトルクのために、発進は楽々、特に神経を使うようなことはない。
GR-FOUR と名付けられたアクティブトルクスプリット 4WD システムを、最初は NORMAL モード(加速時の前後のトルク配分が前輪60:後輪40)で走り出す。
クロスレシオのトランスミッションを、2速、3速とシフトアップしていく。
1か月前に試乗したカローラスポーツは、シフトノブの位置が自分と合わなかったりシフトストロークの長さが気になったりしたが、この GR ヤリスはシフト位置もストロークも違和感なく、気持ちよくシフトチェンジできる。
早々に 4WD モードを SPORT (前30:後70)に切り替えるが、正直なところ市街地を制限速度で走る範囲では体感できる差はない。
途中、けっこうな勾配の登坂があったのでアクセルを踏み込んだが、吸気管圧が正圧になると後ろから蹴飛ばされるような加速感がある。
かと言ってじゃじゃ馬な感じはなく、トルクの出方はアクセルの開度に対してわかりやすくて制御しやすい。
意外だったのは、足回りがとてもしなやかで乗り心地が悪くなかったこと。
同じ "GR" が車名につく GR86 はかなり固くてわずかな路面変化も漏らさず拾うような突き上げ感があったので、この GRヤリスもガチガチなんだろうなと想像していた。
たしかにきっちり締まってファミリーカーとかと比べれば固さはあるのだが、ガツンガツンと突き上げるようなことはなく、しっかりと吸収して地面に吸い付いているかのような安定感と安心感。
ラリーのベースマシンということで、あらゆる路面コンディションを走るのでストロークもしっかりあって路面に追従するようにしつけられている。
ハンドリングも思うとおりに反応してくれるがクイックすぎて神経質な感じはなく、安心して振り回せる。
うん、おもしろい...


それでは、いつものように私の偏見による採点をする。

エンジン;9点
カタログ上の全開性能は、200kW@6500rpm / 370Nm@3000~4600rpm。
インターセプトポイントが 3000rpm と今どきのターボエンジンではかなり高めだが、2000rpm で 200Nm くらい出ているので、私のように 2000rpm 以上をキープするような乗り方であれば何も気にすることはない。
WLTC モード燃費は 13.6km/L。
まあ、こういうクルマであれば普通かな。
実際に運転をして、スペックで数字を見るよりもはるかに扱いやすいと思った。
ちょっと余計だと思ったのは、車室内ルーフに、エンジン音を増幅して聞かせるための小さなスピーカーがついていた。
こういうのはなくていい。

トランスミッション;10点
良好なシフトフィールに加えて、シフトダウン時に回転を合わせてくれてきれいに決まる iMT の良さで満点を。
過去にロードスターのトランスミッションに満点をつけているが、それとはまた違った方向での良さがある。

操安性;9点
安心感のあるハンドリング、路面に吸い付くような追従性、これもまたロードスターとは違う味付けでのしなやかさ。
ブレーキもしっかり効くしコントローラブル。
WRC のベースマシンでありながら日常使いの快適さも兼ね備えている。

デザイン;8点
ノーマルヤリスをちょっとだけスポーティにしたデザインは、クルマに興味のない人がぱっと見でこの下に凄い性能を持っているということに気づかないかもしれない。
そういうちょい地味さがいい。
昔はこういうホットハッチが各社多くあったが、今はもう貴重な存在になってしまった。
3ドアハッチはもっと市民権を取り戻してもいいと思うのだが、今はほぼ絶滅危惧種だ。

コストパフォーマンス;5点
試乗したのよりも一つ下のグレード、"RZ" で見積もりを依頼。
試乗車と同じオプション扱いの赤エモーショナルレッド II 、予防安全パッケージ、ETC、ドライブレコーダ、ナビの一番安いヤツ、フロアマットをつけて、車両本体が 4,468,809円。
さすがにこれくらいの価格になると予算的にかなりきつい。
予防安全パッケージをつけなければここから約25万円下がるが、今どきそういうのはつけたい気持ちと、今までのクルマについてなかったのでなくてもいいじゃないかという気持ちの間で揺れ動く。

ちなみに、試乗した7月中旬時点で、その日にオーダーした場合の納車時期見込みは、'24年の4月。
'23年の書き間違いではない。'24年、1年半以上先である。
私がクルマを買い替えようという時期を考えればそのくらいのタイミングはちょうどそのときなのかもしれないのだが、まだ今の段階で決定を下すのは難しい。
ファーストイン・ファーストアウトなので行列に並ぶ時期が遅くなればそれだけ納期も先に延びるし、1年半以上の納期も半導体やその他原材料の停滞状況次第ではさらに長くなる可能性も多分にある。
こんなどうしようもない納期で、アディショナルポイントは -3点とする。
他社の場合、納期があまりに長いと他社に客が逃げたりもするが、トヨタの客は納期が長くてもじっと待つ傾向にあるらしいので、行列の間の人が抜けていって予想よりも早く順番が回ってくるということは期待薄のようだ。

総合;38点
正直なところ、予算的に手が届くかどうかの上限、というよりもその上くらいのモデルなので、とりあえず乗っておくかくらいの軽い気持ちだった。
もちろん、WRC ベース車両ということで性能的には文句なしだと思っていたが、予想外の快適さは私の期待を大きく超え、点数以上に一気に検討リストの上位に食い込んできた。
かなりいいお値段はするが、スペックを理解すれば私は納得できる数字。(普通のヤリスのちょっといいヤツくらいにしか思っていないかみさんは納得できないと思うが。)
それに水を差すような驚くべき納期の長さ。
元々大量に生産するモデルではないということはあるが、半導体をはじめとする原材料不足がそれを深刻にさせている。
だからといって、まだ元気に走っている DS3 の終わりを今の時点で決めてしまうというのは強い抵抗がある。
どれだけ悩もうと、今すぐの購入決断、契約はないが、そんなモヤモヤしているうちに、自然に逃してしまうことになるのかなあ...
あと、これほどの高性能は街中では持て余すのでそれが必要かという話も。
最近のトヨタ車の出来とこの GRヤリスを見ると、ノーマルヤリスにも乗りたいと思うのだが、それの MT 試乗車が近くにないというのが困る。
ノーマルヤリス 6MT の試乗車は、日本全国でも数えられるくらいしかない。
う~ん、乗らずに買えないしなあ...


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めぎ

納期の問題はかなり悩ましいですね。
このデザインは個人的にアウトですが、エンジンとか、そんなにいいんですね。
by めぎ (2022-07-24 21:54) 

YAP

めぎさん、コメント & nice! ありがとうございます。
新車の納期問題はほんとに深刻です。
エンジンは高性能ですが、一般道で一般人がここまでの性能がいるかというとそうではないわけで、悩ましいところです。

tochiさん、knackeさん、ふるたによしひささん、@ミックさん、鉄腕原子さん、nice! ありがとうございます。
by YAP (2022-07-25 06:49) 

ナツパパ

あ、ヤリスに3ドア車があるんですね、それはいいなあ。
4ドアセダン?のヤリスをレンタカーで借りたのですが、
後部座席と後部ドアの狭さが気になりました。
この車は2人乗りが前提では?なんて思ったほどです。
by ナツパパ (2022-07-25 08:58) 

リュカ

あ!ヤリス!
茨城日帰り旅でレンタカーやさんで出された車です^^
リアビューはヤリスって分かるデザインなのですか〜。
後部座席のくぼみ、わたしも全然気づかなかったです。
なんだろう?
by リュカ (2022-07-25 14:38) 

Inatimy

後部座席のくぼみ・・・スマホ置き場? ちょっと置くには良さげかも^^。
一年半以上の納期、かなり先ですよね・・・その間にまた他に気に入った車が出てきそうな。
by Inatimy (2022-07-25 15:35) 

おと

納期、悩ましいですね^^1年半、長いですね~。試乗車に乗るための旅に出る、など、楽しそうですが、場所にもよるでしょうか、、。
by おと (2022-07-25 19:28) 

YAP

ナツパパさん、リュカさん、Inatimyさん、おとさん、コメント & nice! ありがとうございます。

ナツパパさん、
3ドアのボディは、GR ヤリス専用となります。
ヤリスは今のモデルになって、デザイン重視で後席はかなり狭くなりましたね。
マツダ 2 (デミオ)がまあまあ評価高かったので、そちら路線にいったようです。

リュカさん、
レンタカーでヤリスは、当たりな感じしますね。
私も帰省時等、トヨタレンタカーを利用するのですが、いまいちなモデルになってしまうのが多いです。

Inatimyさん、
後席のくぼみは、検索しても目的がよくわかりませんでした。
これだけ納期が先だと、たしかに他にも出てきて心揺らぐかもしれません。
ネット上では、納車待ちの人がシビック Type R や GR カローラに傾いている人もいるようです。

おとさん、
それも少し考えてますが、ノーマルヤリスを選択する可能性を考えると、そこまでしてもなあという気持ちもあります。
今のクルマも期待せずに試乗して意外にもよくて選んだので、乗らなきゃわからないのですが。

nmzkさん、sheriさん、nice! ありがとうございます。
by YAP (2022-07-26 07:26) 

テリー

納入が、1年半先ですか、私には、待てないな。人気車種は、こうなっているのかな。
by テリー (2022-07-26 23:00) 

YAP

テリーさん、コメント & nice! ありがとうございます。
なんと、昨日、GR ヤリスの受注中止のニュースが入ってきました。
この先の納車予定が全く立たなくなってきたからだそうで。
人気車種というより、絶対的な生産量も少ないんだと思います。
職人が手組みする工程も多くて造るのにも時間がかかりそうですし。

gillmanさん、まささん、nice! ありがとうございます。
by YAP (2022-07-27 06:55) 

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