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葬儀屋と戒名 [雑]

父の四十九日も年末に無事に終わり、まだまだ遺品の片づけとかは残っているのだが、取り急ぎやらなければならないことは落ち着いてきた。
父が亡くなったことで、私自身のことを心配してくれる友人や知り合い(先日の記事に温かいコメントをいただいた方々もです)がけっこういて非常にありがたいのだが、私の精神状態はそこそこ安定していた。
けっこうドライな感じになってしまうのだが、同僚で私と近い年代の人たちの親が亡くなったりという話も珍しくなく、自分にもそう遠くない将来にその日が来るのだろうと漠然と思っていたのが今になったかという感覚が大きい。
もちろん悲しみは感じるのだが、それは絶望的なものでもなければ、自分の将来に影を落とすことでもなく、自分自身に不慮のことがなければだれもが世代の順番通りに経験しなければならないことと受け止めている。


前置きはこれくらいにして、初めて経験した身内の死に伴うあれこれの中で、後から思い起こすとコメディにさえ思えるいくつかのことを書ける範囲で自分自身の覚え書きも兼ねて書いてみたい。

まずは、葬儀のことについてのことを。

今回の話は、何かの宗教・宗派に対して深い信仰心がある方には不快な内容を含むかもしれませんが、そこは無宗教で無知な人間が書く戯言とお許しください。



少し話が戻るが、今年の夏に帰省したとき、今まで自分が死んだときの話なんて絶対にしなかった父が、墓の相談をしたいと言ってきた。
父は次男なので墓に入るには新たに墓を作らねばならず、作ったとしても、長男の私には子供がいないし、弟のところも女の子だけなので、作る必要はあるのか、と。
その話とは別に、母に対しても、葬式をするなら地味に、信仰する宗教宗派もないので戒名もいらない、と言っていたらしい。

父がなくなって具体的に葬儀の話を決めるときに、そんな話というか生前の希望を母が葬儀屋に伝えたところ、常識がないとか戒名をつけないのは亡くなった人を侮辱する行為だとか、それはそれは非常に強い口調で遺族に対してここまで言うのかと思うほどに言われてしまった。
2年前に都内に住む親戚のところで不幸があったとき、質素な葬式をして戒名もつけなかったという話を両親は聞いていたので、母はそういう形が理想だと思っていたようだ。
そこは大都市と地方の田舎町の違いで、都会であればフリーのお坊さんもいるし合理的に割り切ったビジネスとしての冠婚葬祭の選択肢が多くあるのだが、残念ながら田舎にはそういうフレキシビリティはない。
何しろこちらは初めての自分事の葬式なので、一から十までわからないことだらけで、「常識」がわからず完全に葬儀屋にペースをつかまれてしまった。


その後も、葬式の祭壇や精進落としの料理とかも中間ランクの無難なものを選び、なんだかんだと質素とは言えない普通の一般葬になってしまった。
父が望んでいた葬式はこんなんじゃなかったんだろうなとモヤモヤしたものが残りはしたが、会場からあふれるほどの参列者に来ていただいたことを考えると、これでよかったと思うことにした。

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めぎ

そういえばうちの父が、両親に続き何人かの兄弟の葬式をして、だんだん葬儀屋と話をするのもプロになってきたよ、と言っていたことがありました。こんなことでプロになるのもなんだけどね、とも言ってましたが、やはり数回を経ると色々と呑み込まれずに済むのかもしれませんね。
うちのドイツ人の父親は自分で葬儀屋の手配までして逝ったので、それが故人の遺志だということで誰も何も変えませんでした。
そういう例はかなり珍しいと思いますが、そこまでしておけたらいいなと自分では思ってます。
by めぎ (2020-02-13 05:50) 

YAP

めぎさん、コメント & nice! ありがとうございます。
自分で最後までご準備できていたとは、ドイツ人さんのお父様は立派ですね。
たしかにそこまで自分でできれば、残された人にも安心ですね。

xml_xslさん、@ミックさん、鉄腕原子さん、ネオ・アッキーさん、nice! ありがとうございます。
by YAP (2020-02-13 07:13) 

ナツパパ

わたしも父が亡くなった時には、いろいろ迷いました。
故人の意思といっても親戚が納得しなかったり、葬儀屋さんもあれこれ言い始めたり。
YAPさんのご苦労も実感として分かります。
母の時にはもう少し納得できる形で...って、めぎさんの仰るように、
こういうことに慣れるというのも、ちょっとなあ、と思いますねえ。
by ナツパパ (2020-02-13 10:44) 

Inatimy

遺品の片付けってなかなかすぐには取りかかれないですよね。
亡くなったことに直に向き合う作業になってしまうこともあって。
以前、四十九日に一時帰国した際にできる限り進めようと思ったけれど、日々暮らしを共にした者にとっては、
いきなり遺されたものが片付けられるのは寂しさが増すように感じられたので、
して欲しいと頼まれたことだけにとどめました。
自分自身の場合になったときのことを想像すると、今から片付けてものを少なくしておかないとなぁ・・・。
by Inatimy (2020-02-13 17:09) 

kuwachan

うちの場合は、神道だったので、戒名の問題はなくその点は楽だったと思います。
葬儀屋さんも極々内輪でやりたいと言ったら
その通りにしてくれたのは、YAP さんのお話を伺うと
東京だったかもしれないですね。
母には弟妹がいましたが離れて住んでいますし高齢なので
母の希望により全てが終わってから連絡しました。
by kuwachan (2020-02-13 17:27) 

sheri

そうなんですよね、大都市と地方の違いってこういうときに現れるのだなぁと義父の葬儀のときに思いました。(新潟の話です)
まず家族葬というコンパクトな葬儀が出来る場所が少なかったです。
しまいには義兄から「こちらでは豪華なお葬式をする人も多くいる」とまで言われましたが、私はその感覚の違いに戸惑ってばかりでした。

by sheri (2020-02-13 21:43) 

YAP

ナツパパさん、Inatimyさん、kuwachanさん、sheriさん、コメント & nice! ありがとうございます。

ナツパパさん、
いろんな人が好きなこと言いますが、最後は肉親の意見にもっと寄り添っていただければと思いました。
こういうことに慣れるのはうれしいことではありませんが、次のそういう場面では、もっとうまく話ができるといいのですが。

Inatimyさん、
遺品の整理は大変ですね。
うちの父は、何かとものをため込む質だったので。
今は母が少しずつできるところからやっているようですが、永久に終わらない気がします。
私もどちらかというと物を捨てられないので、今のうちから意識していかないとと思ってます。

kuwachanさん、
田舎は何かとしがらみが多いです。
そういう点では、やはり都会は洗練されているというか、あらゆるレベルのサービスがあるなと思います。

sheriさん、
うちも最初は家族葬をと思っていたのですが、家族葬にしてしまうと、それを事後に知らされた個人の友人・知人が次々と自宅に線香をあげに来ると思われるので、その対応が大変だと聞きました。
その点は、たしかにその通りだと納得し、一人残った母が毎回その対応をするのはきついだろうと思い、断念しました。

nmzkさん、knackeさん、テリーさん、nice! ありがとうございます。
by YAP (2020-02-14 08:04) 

リュカ

地方と都市では、やっぱり葬儀のありかたも
違うんだよなーって、それはすごく感じます。
札幌はまだサバサバしているほうだけど、母の実家があった福島はもっと昔ながらの考え方だったし。。。
わたしが鬼籍に入るころには、もっといろいろ簡略化されてるのかなって思います。子供もいないので、淡々と事務処理的に済ませてほしいわ^^; やっぱり意思表示の終活は大事だなw
by リュカ (2020-02-14 14:47) 

YAP

リュカさん、コメント & nice! ありがとうございます。
伝統と合理性、どちらがいいとか正解とかはないと思いますが、土地によって選択肢に制限があるというのが難しいところです。
我が家も子供がいないので、自分たちのことは早いうちから決めて意思表示しておかなければと思います。
by YAP (2020-02-15 06:38) 

miffy

地方でも最近は直葬や家族葬が増えてます。
大手の葬儀屋さんだと何でも高い方を進めてくるみたいですね。
うちのお坊さんはペットを同じお墓に入れるのも本人たちがよければ構わないという人です。
その方の話だと戒名はつけてもつけなくても良いというお話でした。
by miffy (2020-02-15 11:18) 

YAP

miffyさん、コメント & nice! ありがとうございます。
そういうフレキシブルなお坊さんだといいですね。
私の父のケースだと、お坊さんは遺族に寄り添った立場で話をしてくださったので、それはせめてもの救いでした。
葬儀屋にしてやられたと言うと言い過ぎかもしれませんが、モヤモヤは残りましたね。
by YAP (2020-02-15 15:48) 

ふにゃいの

うちの場合は、もう落ち込んでいてぼーっと
していたので、どうしたかとか
今となっては記憶がないくらいです。
自分の場合は、しっかり紙に書いて
残しておこうかなと思いながらも
まだ、何も…^^;
by ふにゃいの (2020-02-15 17:48) 

YAP

ふにゃいのさん、コメント & nice! ありがとうございます。
意思ははっきりとした形で残しておかないと、有効性とかもあるようです。
何しろ初めてのことなので、わけもわからずという感じではありました。
by YAP (2020-02-15 17:51) 

engrid

葬儀は、時間をかけてじっくりとはいかないので、次から次へと事が進んでしまう、気づけば、、
父の希望で、ごくごく身内でいたしました、
落ち着いて、しみじみ思い出話などしながら、お通夜と
さみしく悲しい気持ちでありながらも、みんなで送り出すことができ
良かったと思っています
by engrid (2020-02-16 02:10) 

YAP

engridさん、コメント & nice! ありがとうございます。
engridさんはご希望通りの葬儀ができたんですね。
それはうらやましいです。

熊太郎さん、nice! ありがとうございます。
by YAP (2020-02-16 06:23) 

kyon

同じく昨年夏に父を亡くしました。
三男である父は墓をもちません。仏壇はそこそこ立派なものを母は購入したものの、子供は私たち姉妹だけ、同居している妹のところも娘が二人なので、墓守を考えてか墓の購入は先送りになったままです。
海外に嫁いだ親友は妹を数年前に亡くしましたが、ご両親はそれ以前に購入済みの墓に納骨せず、最近私に永代供養の話をされるのです。
ご本人が希望されたのならそのようにされるのが良いと思いますが、時代とともに家庭ごとに話し合い常識にとらわれない選択がベストでしょうね。
ともあれ、よいお式ができてよかったですね。

by kyon (2020-02-16 13:19) 

YAP

kyonさん、コメント & nice! ありがとうございます。
時代とともに、葬儀のあり方も変わりますよね。
都会であればその波は早くやって来ていて、既に多くの人が新しいスタイルに合わせられるよう、いろいろ希望が叶うことと思いますが、なかなかそれが難しい地方の実状を感じました。
by YAP (2020-02-16 15:42) 

schnitzer

父の戒名について住職に相談した時、「税金を払うくらいならお寺に寄付すると思って良い戒名(高い戒名)をつけられたらどうですか」と言われました(笑)
私はお国のために税金を払います・・・と、口から出そうになりました。
by schnitzer (2020-02-23 13:06) 

YAP

schnitzerさん、コメント & nice! ありがとうございます。
そう、戒名にいろいろ値段がついているというのも、信心ない者からすると疑問もありまして。
とりあえず、平均的なものをお願いしました。
by YAP (2020-02-23 14:39) 

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