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初めてのフランス出張 ロシア人のおばちゃん [フランス出張]

夕方、まあまあいい時間になってきたので、ホテルに預けていたスーツケースを受け取り、パリ北駅へ。

私がこの日買っていた MoBiLiS はゾーン2まで有効で、空港があるのはゾーン5。
ゾーン5までの MoBiLiS を買っておけばよかったかと思いきや、空港線は適用外らしいので、どのみち北駅でチケットを買わなければならない。

ここで、チケットを買おうとしたときに珍事件発生。
自販機で9.5ユーロを払ってチケットを購入。
そのとき、背の低いおばちゃんに話しかけられた、が、何を言っているのかサッパリわからない。
英語でもなければ(英語でない時点で既に私にはアウトだが)フランス語でもなく、聞いたことのない言葉。
一生懸命話していて、助けてほしそうなのはわかる。

だけど、何言ってるかわかんないんだよなあ。
と思ったら、突然、おばちゃんがいきなり両手を左右に広げてバタバタと鳥が羽ばたくようなしぐさを見せて
「エアロポルテ!エアロポルテ!」
と連呼し始めた。
そうか、空港に行きたかったんだ。

そこからは話が早い。
たどたどしい片言の英語同士で、私と同じシャルル・ド・ゴールに行きたいのはわかった。
チケットを買おうとお金をマシンに入れようとするが、小銭が少ないのか、大胆に財布を広げて中を探している。
こんな治安の悪いパリの駅で。

ここで、用心深い私は別のことを感じた。
「しまった!これは罠だ。私が気を取られている隙に仲間が近づいてきて、私から何か奪っていくに違いない。」
すぐに自分の周囲に近づこうとしている不振人物を確認した。
それらしき挙動を示したり、こちらの様子を気にしているような連中はいない。
どうやら、このおばちゃんは本当に困っていて、ただ無用心なだけのようだ。
「ここはパリだよ。ちゃんと気をつけて。」
と言いながら、怪しいヤツから目を付けられないように、今度は別の意味で周りに注意をかける。
旅行の最後で小銭が残っていないらしかったので、足りなかった2ユーロは私が払った。
おばちゃんは、「スパシーバ!」を連呼して感謝してくれた。

あまりにも危なっかしいので、とりあえず一緒に付き添って電車に乗ることに。
電車に乗る前も、
「ターミナルがわからない」
とか言ってバッグを大胆に開き、Eチケットの控えみたいなのを探し、それを見て確認する間もバッグの口は全開で中身丸見え。
もう、完全に付き人ですわ。
ボディガードよろしく、全開のバッグが周りから見えづらいように態勢を変え、近くを歩いて通り過ぎる人一人一人の行動に注意を払う。
その間、おばちゃんはマイペースで自分のフライト情報確認。





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前置きが非常に長くなったが、とにもかくにも、シャルル・ド・ゴール行きの RER(高速郊外鉄道)に乗車し、無事に出発。

電車の中でも、お互い一生懸命に会話を試みるが、いまひとつ噛み合っている感がなく、意思疎通が図れているのか怪しい。
とりあえず、おばちゃんはロシアのなんとか(聞いたけどおぼえられなかった)って町から一人でパリに1週間くらいの旅行に来ていたのだとか。
よく英語もフランス語も話せずに、それだけの期間一人旅をするなあと、そのバイタリティに感心。
会ってからの行動を見ると、スリや引ったくりの格好のターゲットとして狙われそうだが、楽しそうに帰路についているので、トラブルのない楽しい旅行だったんだろう。





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電車は、アエロポール・シャルル・ド・ゴール1駅に到着。
ターミナル1の私はここで降りるが、おばちゃんはターミナル2からだそうなので、ここでお別れ。
最後に、一緒に写真を撮らせてもらった。





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なかなかおもしろく忘れられない出会いが最後に用意されていた。
あのおばちゃん、元気にロシアで暮らしているかな?





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そこからは無料の CDGVAL という無人電車がターミナルまで運んでくれる。





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さあ、いよいよ帰るときがきてくれた!





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私が乗る ANA 便は、まだ搭乗手続きが始まっていないようだ。
しばらく、カウンターの前辺りで待つこととする。


タグ:フランス
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コメント 15

リュカ

すてき!
そんなおばちゃんに憧れてしまいます。
やろう!行こう!と思ったら出来るのかもデスね−。
YAPさん、ご案内お疲れ様でした^^
by リュカ (2015-01-13 00:05) 

YAP

リュカさん、コメント & nice! ありがとうございます。
憧れるのはいいですが、危ない街では周りにご注意ください。
危ない目にあわなかったみたいで、それはよかったです。
by YAP (2015-01-13 07:10) 

ナツパパ

なんともいいお話を伺い、週明けから気分が良いです。
困った人をそのままにしておけないYAPさんのお人柄、素敵です。
パリはホント怖い街のようで、友人も被害にあったと聞きましたし...
ロシアからのおばあちゃん、なによりでした。
by ナツパパ (2015-01-13 10:04) 

Amy

YAPさん、優しいですね(^^)
そのおばちゃんもトラブルのないパリ旅行だったようですし(?)
心温まるよい想い出になっていることでしょうね。
by Amy (2015-01-13 10:33) 

ベアトラック

旅先で良いことをされましたね。
by ベアトラック (2015-01-13 11:44) 

kuwachan

YAPさんの揺れ動く気持ちがよ~くわかりました^^
でもそれが本当に気持ちじゃないかと思いますよ。
結果的には何事もなく、本当に困っているロシア人のオバチャンだったのでよかったですが
外国では親切心がアダとなることもあるので、注意し過ぎてし過ぎることはないですよね。
by kuwachan (2015-01-13 20:05) 

めぎ

素敵な思い出になりましたね。
ロシア系のおばちゃん、ドイツでもよく、バーンとお財布広げてレジの人や売り子さんに支払うべきお金を選んでもらっているのも見かけます。
他の人にはおつりをごまかそうとするレジの人も、そういうおばちゃんには親切に正直に数えているというのもよく感じる傾向です。
by めぎ (2015-01-13 21:42) 

ふにゃいの

ロシア系のおばちゃんの一人旅…
パリのどんなところに行きたくて
旅行したんだろう?

でも、YAPさんに話しかけているところからみても
意外と危機管理能力というか
人を見る目とかがある方なんですねきっと。
by ふにゃいの (2015-01-13 22:30) 

ジャランこ

おばあちゃん、よかったですねYAPさんと出会えて。

背後にも気を配らなければならない治安の悪いところなのですね。
気を付けなければ。
by ジャランこ (2015-01-13 23:08) 

YAP

ナツパパさん、Amyさん、ベアトラックさん、kuwachanさん、めぎさん、ふにゃいのさん、ジャランこさん、コメント & nice! ありがとうございます。

ナツパパさん、
そのままにしておけなかったというよりは、成り行きでそうなってしまったというほうが正しいです。
1週間前に東駅に着いたときはメトロの改札ゲートをまたいで堂々とキセルする人の多さにビビッたのですが、帰る頃にはそんな恐怖心も麻痺してしまっていました。

Amyさん、
このおばちゃんが無事にパリで過ごせたのも、この人懐っこい人柄のせいかも知れません。
いい思い出になっていると信じたいです。

ベアトラックさん、
どうせなら、「旅の恥はかき捨て」よりは(結果的に)いいことしたほうがいいですね。

kuwachanさん、
海外に行くと、ついつい疑心暗鬼になってしまう自分が嫌になることもあるのですが、用心するに越したことはないですよね。
結果オーライでした。

めぎさん、
こういう人は周りまで素直にさせる魅力を持っているんでしょうね。
あまりにも無防備すぎてアタックする側も面食らっていたのかも。

ふにゃいのさん、
片言英語同士の会話では、美術館とか周ってたみたいでした。
楽しいパリだったみたいです。

ジャランこさん、
ヨーロッパではけっこう背後は気をつけてます。
治安があまりよくない街だと、しょっちゅう振り返りながら歩いています。
傍から見れば、私自身が不審者に映ることは間違いありません。

Lionbassさん、シルフさん、mat-chanさん、nice! ありがとうございます。
by YAP (2015-01-14 07:17) 

フェイリン

異国で親切な方に出会えて良い旅の思い出が増えたでしょうね。お優しいですね。
確かに最初そんな状況だと罠かと思ってしまいますよね。
by フェイリン (2015-01-14 08:27) 

aloha

ちゃんと周囲の警戒を怠らないところが、さすがYAPさんです!
結果的には温かなお話で終わって、読んでいる私もほっとしました(笑)
こういったエピソードがあると、忘れられない旅になりますね(^^)
by aloha (2015-01-14 12:10) 

YAP

フェイリンさん、alohaさん、コメント & nice! ありがとうございます。

フェイリンさん、
罠だと思うでしょ?
実際、そういう囮を使って背後から近づく、なんてパターンの犯罪はあるみたいですし。

alohaさん、
根が臆病なので、ついつい警戒してしまいます。
最後に強く印象に残る出張になりました。
by YAP (2015-01-15 07:11) 

ake_i

あははは@@;
ロシア語、ロシア人のおばさまだったのですね。
大陸的だな~。
YAPさん、ちゃんと警備もされて安全に誘導され素晴らしいです。
困っている人から助けを求められたとき、言語の問題でスムーズに事が運ばないことがありますが、人間なんとか意思疎通と問題解決は出来ると信じて生きています。
私もドイツ語全然わからない時代、ドイツ語だけしか話せないおばちゃんの家に二週間滞在した時があります。英語は全然話せないおばちゃん。私もちょっとずつ現地でドイツ語を覚えて話すようにして、その日あったことをなるべく翌日の朝食のときに話せるようにしました。
私自身仕事で大失敗をした日の夜、トボトボと世話になっているこのおばちゃんの家に戻ると玄関先にて迎えてくれて、顔を見た途端に涙が出てしまい、どうしたの?という質問に、その日失敗した辛さをなんちゃって会話で話したら、わかってくれて・・・
「星空をみてみて。ほら、流れ星がたくさんあるでしょ。たくさん勇気をもらえるし、がんばれーって言ってくれてるのよ」と二人で抱き合いながら泣いた思い出を思い出しました。
翌年、そのおばちゃんの家に突然行ったのですが、不在で><;なんちゃってドイツ語で書いた置手紙をドアにはさんできました。
しばらくして、日本の私の家にドイツ語でお手紙が届きました。
読めなかったけど・・・(笑)
by ake_i (2015-01-18 17:35) 

YAP

ake_iさん、コメント & nice! ありがとうございます。
ake_iさんの話もいいお話ではないですか。
1年も経っているのに再会できなくてもおぼえててくれて、手紙を送ってくださるだなんて。
滞在中も、言葉は通じなくても心は通じたんですね。

nmzkさん、Zunkoさん、nice! ありがとうございます。
by YAP (2015-01-18 18:15) 

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