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Chevrolet Traverse [クルマ]

<グランドサークル爆走記> 

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私たちの今回の旅の愛車となったのは、シボレー・トラバース。
今回は未舗装路をいくつか走ることがあらかじめわかっていたということもあり、予約時に SUV を選択した。
自分で金を出して買うことは絶対にないであろうジャンルでもあるので、貴重な試乗機会となった。

まず最初に、強く主張しておきたい気持ちを抑えて事実を少し並べておく。
GM は、今年に入ってから立て続けに大量のリコールを届けており、その台数は2000万台を超えた。
中でもイグニッションスイッチの不具合では、それによる事故で 70人を超える死亡者が出ている。
一連の欠陥は組織的に隠蔽されてきたことが疑われている。
また、チャプター11を申請する以前の欠陥については前の経営陣のやったことなので制裁は免除してくれと主張している。

というわけで、個人的に GM車には本当は乗りたくなかった。
が、チェックアウトしたアルバカーキ空港で "Never Lost" を装備した SUV 車両が他になく、旅そのものの快適さを優先させ、これを受け入れることにした。

そんな前振りは置いておいて、とりあえずこのクルマを自分なりの物差しのままで評価したい。

そもそも私が SUV を好まないのは、鈍重さと一般道での操安性。
軽快さを好む私の対極にあると言っていい。

ボディサイズは大柄だが、それが大きく感じないのがアメリカのすごいところ。
むしろコンパクト SUV と呼べそうなくらい?
ヒップポイントが高めなので、低めからの視点に慣れている私には少々落ち着かない。





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エンジンは 3.6L V6 直噴。
アメリカは世界一厳しい排ガス規制でありながら、燃費に対しては欧州勢や日本勢に後れを取っていたが、そんな国でも徐々にダウンサイジングの潮流が押し寄せている。
走りの方はというと、まあ、こんなものかな。
車重が重いので加速はどんくさいが、そこそこ上の回転まできれいに回ってくれる。
クルマの性格上、もう少し下の回転にトルクを振った方が走りやすいだろうと思う。





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トランスミッションはマニュアルモード付きの 6AT。
ATを L レンジにすると、シフトレバー横の +/- のボタンでマニュアルシフト可能となる。
最初、Dレンジのまま +/- ボタンを押しても何も変化がないので、使い方がよくわからなかった。
ゲートに書かれているのが、"M" じゃなくて "L" だからね。
一昔前の AT のゲートだと、"L" レンジっていうと1速を意味していたので、走行中に "L" レンジに入れるのは恐くてなかなかできなくて。
制限速度の低い町中を走っているときに恐る恐る L にシフトしたら、インパネのゲートを示す表示に数字が出たので、それでようやく安心して使えるようになった。
5年前の旅行時にシボレー・マリブに乗ったときの 6AT はビジーシフトで忙しなかったが、こいつのシフトスケジュールはそこそこジェントルで落ち着いていた。





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インパネの写真に映り込みが多くてすみません。
メータは極めてオーソドックスなタイプだが、いまどき電圧計を装備。
燃費のための充電制御をやっているというのが私なら走行中にこれを見れば気づくが、果たして一般の人がどれだけわかるか。
付けるだけコストの無駄では? 

クルマ全体の重心が高いので、コーナーでのロールは大きめ。
ラウンダバウトのように左右にステアリングを素早く切り返す必要があるところでは、ドタバタした挙動を見せてしまう。
足回りもフワフワした感じで、アメリカのようなひたすら走り続けるような道だといいものの、これがそのまま日本の道を走ったりしたら、同乗者は酔ってしまうのではないかと心配になる。
ブレーキは減速感に乏しいが、とりあえず止まりたい位置に止まってくれるので、よくわからない。





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前述したが、このクルマを選んだのは、この Hertz レンタカー専用カーナビ、"NEVER LOST" が装備されていた SUV がアルバカーキでこれしかなかったから。
ご覧のように、モニターの画面は時代から取り残されたかのような代物だが、自宅で目的地リストを USB メモリ(左にくっついている「ポルシェ」がそう)に保存して持って行けば、そのリストからダイレクトに目的地を指定できるというメリットがある。
アメリカの私が行くようなエリアは、実際は道もそんなに難しくないのだが、一度道を間違えてそれに気づかないと、何百kmも走ってようやく気づくということになりかねない。
この程度のナビがあれば、それで安心することができる。

では、いつも評価しているみたいに、こいつも私の評価軸で採点してみよう。
NEVER LOST はこのクルマそのものの装備ではないので、当然ながら採点の対象とはしない。

エンジン;6点
可もなく不可もなく。
少なくともエキサイティングな感じはしない。
かといって不満もなく...
エミッションは、US LEV II。
燃費はカタログ値 City mode;16MPG (6.80km/L) / Highway mode;23MPG (9.78km/L) に対して、今回の旅行中の平均値としては、燃費計がついてなかったので正確さに欠けるかもしれないが満タン法での計算で23.40MPG (9.95km/L)。
高い車速域での巡航が多かったとはいえ、カタログのHighwayモード値を超える実力を示したのには驚いた。
アメリカはカタログ値と実燃費の乖離が大きいと消費者のクレームがすごいので、表記を比較的控えめにしているのかな?

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トランスミッション;4点
いつものように AT は正しく評価できているのか自信がない。
変速ショックは少なく、シフトスケジュールも落ち着いている。
ただ、ロックアップするときかな、ある程度車速が出たところで、コツンッというショックがあり、一度それに気付くとその後気になってしょうがなかった。
あと、マニュアルモードの変速用スイッチがシフトレバーのこの位置っていうのが使いにくくてしょうがなかった。
パドルスイッチにしようよ。

操安性;3点
これはもう、私自身がこういうクルマを好まないのでしょうがない。
ロールが大きいのがとにかくダメ。
踏ん張りどころがわからず、運転していて不安が高まる。
ひとつひとつの操作に対しての挙動変化の遅れが大きいのも、SUV ではこんなものだろうと思っていても受け入れ難い部分。

デザイン;5点
とにかく無個性。

コストパフォーマンス;6点
グレードがよくわからないが、たぶん "LS AWD" だと思われ、USのホームページ上では $32,795 となっている。
この手のクルマに対しての価格の妥当性がよくわからないのだが、日本車で同格というとハリアーとかになるのかな?
だとすると、まあ車格相応の価格設定か。

アディショナルポイントは、次々と明らかになるリコールを隠していた疑いが強いということで、私の定めたルールでの最大限の減点で -3点

総合;21点
アディショナルポイント以外は、今までと同様の基準で採点したにもかかわらず低い点になってしまったのは、自分の好まないジャンルのクルマということで粗が目に付いたということが最大の理由。
正直、運転そのものはおもしろくもなんともない。
ステアリングを切ってから一呼吸おいてロールし始めて、荷重が外側にかかった頃に曲がり始めるというこのダルさがねえ。
日本では販売されていないモデルだけど、北米でこれに乗っている方でこの記事を読まれる方がいたとしたら、すみません、私の偏見でつけた点数ですので。

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コメント 17

めぎ

このメーカーのオープンカーを7年くらい前にハワイで借りましたが、パワーが足りないという印象でした。
でも、アメリカではそんなにスピードを出す機会もないからちょうどいいのかもね、と言いながら乗ってました。
by めぎ (2014-06-25 05:36) 

ナツパパ

アメリカで使われることを前提に作られた車なのでしょうね。
それならば、YAPさんの検証も理解できます。
日本だったら、ぎりぎり十勝で便利に使えるかも知れませんね。

GMのリコールは、わたしも驚きました...驚いています。
アメリカでよくやる、ダブルスタンダードはこの際やめて欲しいなあ。
せめてトヨタにしたくらいの厳しさを見せて欲しいです。
by ナツパパ (2014-06-25 07:01) 

YAP

めぎさん、ナツパパさん、コメント & nice! ありがとうございます。

めぎさん、
私は最近、アメリカで借りると GM車に当たることが多いです。
アメリカは田舎道をのんびり巡航できればいいですね。

ナツパパさん、
トヨタにもリコールに伴うゴタゴタやブレーキ欠陥疑惑がありましたが、会社として誠実な対応をしたおかげで、イメージは逆に向上したのではないかと思います。
それに比べると...

kiyoさん、nmzkさん、nice! ありがとうございます。
by YAP (2014-06-25 07:41) 

リュカ

すみません!車はやっぱり分からないので(笑)
でも私も軽快な車のほうがいいかな^^
あとは、小回りがきくとか。。。

絶対乗らない車を試せたのは良かったですね^^
by リュカ (2014-06-25 11:09) 

kuwachan

私の場合外国でレンタカーする可能性は限りなく低いと思いますが、クルマってやはりお国柄がでますよね。
アメリカはやはりその大地と同じように大きな車が多いのではないですか?
フランスとかイタリアは古い路地が多いからか、日本よりも小型車が目立ちます。
by kuwachan (2014-06-25 12:25) 

hideyuki2007y

アメ車に乗ることはないだろうなーと思いながら拝見しました。此の歳になると、あと何台の自動車を運転(所有)できるのだろうと考えてしまいました。
by hideyuki2007y (2014-06-25 23:37) 

YAP

リュカさん、kuwachanさん、hideyuki2007yさん、コメント & nice! ありがとうございます。

リュカさん、
私も軽快で自在に動かせるクルマが好きです。
鈍重だと、ひとつひとつの動作がワンテンポ遅れるので、ストレスなんですよねえ。

kuwachanさん、
たしかにお国柄は表れます。
以前のアメ車は、船に乗っているかのようにフワフワとつかみどころのない柔らかすぎる乗り心地のものが多かったのですが、ようやく最近は欧州車のようにしっかりしてきました。

hideyuki2007yさん、
そうそう、私も同じで、あと何台所有できるのだろうと思ってしまいます。
なので、今の愛車の選定にもこだわりました。

knackeさん、Lionbassさん、nice! ありがとうございます。
by YAP (2014-06-26 07:56) 

luckystream

アメリカではレクサスの450がママのお迎え車だそうで・・・。
大きさが麻痺してしまう国です(笑)
by luckystream (2014-06-26 10:32) 

Traveler

私もグランドサークルを走ったとき借りたのは4WDでした。
アメリカ車だったので心配でしたが、結果4WDで良かったです。
詳しい解説ありがとうございました。
by Traveler (2014-06-26 11:21) 

aloha

国とか場所、旅のスタイルによって、快適な車も変わってきますね。
日本の狭い道にはとうてい似合わない車も、
アメリカの広い大地にはよく似合うと実感させられました。
by aloha (2014-06-26 12:33) 

ake_i

YAPさんの検証が(難しいことはわからないので置いといて・・・)とっても理解できましたよ。
特にアメリカのフリーウェイや一般道は日本と比較できないことがありますが、この車のかったるい感じ?はイラついたりしたでしょう。
電圧計、装備されてても私には全然わかりません(笑)
ブレーキの減速感が少ないのはこわいな~@@
そして重心が高いというのは安定しない気持ちでしょうね。
どちらかというと、重心が低いドシッとした走りが好きな私もこれはパスしますけど・・・面白い記事です♪
by ake_i (2014-06-26 14:17) 

YAP

luckystreamさん、Travelerさん、alohaさん、ake_iさん、コメント & nice! ありがとうございます。

luckystreamさん、
アメリカ本土はクルマが大きいぶん道も広いですから、走りにくさは感じません。
ハワイは道も駐車場も少し狭かったので、窮屈な感じでした。
同じアメリカでも、島と大陸では違います。

Travelerさん、
今回は未舗装路を数箇所は知る予定があったので SUV にしました。
結果的に、セダンでも大丈夫そうな道ではありましたが。

alohaさん、
日本だとアメリカ車は大きくて不似合いだと思うのですが、アメリカでは格好良く見えるんですよねえ。
土地柄で印象もずいぶんと変わります。

ake_iさん、
好んで乗るタイプのクルマではなかったので、やはり自分の趣味とは合わない感じで終始違和感がありました。
次は普通のセダンを借りようと思います。

シルフさん、nice! ありがとうございます。
by YAP (2014-06-27 07:54) 

Grifon

自分は所謂、スポーツカーを離れてSUVに乗り換えたのが15年ほど前。ということで、YAPさんとは逆でこの手の車しか所有しません。

昨年ですがシボレーのタホを仕事のためアブダビで借り、長距離をドライブしました。自分もオフロードが想定されていたのでそうしたわけですが、スナの深いところに入ったら見事にスタック。
なんと4WDシステムが壊れていたのでした。途方に暮れていると近くを通りかかったローカルの人のランクルが牽引ロープを持っていて引っ張り出してくれました。

ランクルの頼もしかったこと・・・・という私は今でもGCのSRT-8です。ええ、自動車税¥111,000払いました。
by Grifon (2014-06-27 13:12) 

ベアトラック

最近は、アメリカ出張で日本車に当たると安心します(苦笑)
by ベアトラック (2014-06-27 18:29) 

YAP

Grifonさん、ベアトラックさん、コメント & nice! ありがとうございます。

Grifonさん、
SRT-8 は、SUV の皮を纏ってはいますが、中身はスポーツカーといってもいいのではないですか?
たぶん、同じSUV というカテゴリーでも、まったく違ったものと想像します。

ベアトラックさん、
今回の旅行で最初に案内されたクルマは日産でした。
記事に書いたとおり、ポータブルのしょぼいナビしかついていなかったので変えてもらいましたが。
by YAP (2014-06-28 06:47) 

フェイリン

この古いタイプを借りた事があります。
大きい割に視界が悪く、最初酔いそうになったのを覚えています。

うちの旦那様もGM車はお好みではない様です。
by フェイリン (2014-06-28 16:02) 

YAP

フェイリンさん、コメント & nice! ありがとうございます。
重心が高いと、カーブを曲がるときのロールも大きくなるので酔いやすい人はやられそうですね。
もっとシャキッと走ってほしかったです。
by YAP (2014-06-29 06:33) 

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